メニュートレンド:だし巻き卵の底力! 朝食定番食材を名物に格上げ

2025.01.06 551号 21面
極!たまご丼 シングル2,250円、ダブル2,790円(各税込み) 写真は明太子2腹のダブル。白飯の上に卵3個を使っただし巻き卵、イクラ約50g、明太子をのせ、白だし汁を添えて提供。カキが看板料理の魚介イタリアンバルだが、純和風のセットにしたギャップもお客の目を引くポイントに

極!たまご丼 シングル2,250円、ダブル2,790円(各税込み) 写真は明太子2腹のダブル。白飯の上に卵3個を使っただし巻き卵、イクラ約50g、明太子をのせ、白だし汁を添えて提供。カキが看板料理の魚介イタリアンバルだが、純和風のセットにしたギャップもお客の目を引くポイントに

だし巻き卵をのせたら、隙間を埋め尽くすようにイクラを盛る

だし巻き卵をのせたら、隙間を埋め尽くすようにイクラを盛る

あえてお茶碗は付けず、だし汁をおひつに直接注ぐスタイルが新鮮

あえてお茶碗は付けず、だし汁をおひつに直接注ぐスタイルが新鮮

表通りから少し入ったビルの地下1階にある隠れ家風のバル

表通りから少し入ったビルの地下1階にある隠れ家風のバル

【愛用食材・資材】「白だし(マルシロ)業務用」Mizkan(愛知県半田市)

【愛用食材・資材】「白だし(マルシロ)業務用」Mizkan(愛知県半田市)

 何てことのない食材でも、提供の仕方次第で強烈な魅力を放つ外食メニューになることがあるものだ。「UMIバル新宿店」の「極!たまご丼」は、明太子、イクラ、だし巻き卵というありきたりな食材だが、その盛り付けと提供スタイルの一工夫により、誰もがパシャッとスマホで撮影してしまう人気メニューとして完成している。

 「家庭でも簡単に作れるメニューですけどね(笑)」と、同店マーケティング担当の南雲大介氏が言う通り、「極!たまご丼」は皿に盛り合わせれば単なる家庭の朝食メニューそのもの。しかし、小さなおひつにご飯を入れてだし巻き卵をドンとのせ、隙間をイクラで埋め尽くし、さらに明太子を丸ごとドンとのせるビジュアルは家庭の単なる朝食を超越しており、インパクトは申し分ない。「高価格のためランチには向かない」(南雲氏)と、ディナーのみで展開しているが、ディナーメニューで写真を見たお客からの注文がランチでも続出。明太子のシングル、ダブル合わせて1ヵ月で250食を売り上げる。

 同品の魅力のポイントは何といっても、切り分けることなく豪快に丸ごと盛り付けただし巻き卵だろう。卵3個を使い、注文が入ってから作るという。「そこが唯一のこだわりと言えるかもしれませんね」と、南雲氏。作り置きではなく注文後に手作りするのは大変なようにも思えるが、「ご飯の上にのせていくだけなのでオペレーションは簡便ですよ」と、実は人手不足の昨今の飲食店事情にもありがたいメニューというわけだ。出来たてのだし巻き卵は作り置きとは段違いのおいしさで、ふわっとほんのり温かく、魚卵×魚卵で塩味が立つ味わいをやさしく緩和してくれ、食べ応えと見栄えの魅力もアップ。だし巻き卵の存在感の強さで、ありきたりな「イクラ明太ご飯」が堂々たる名物メニューに格上げされている。

 味変のだし汁を小さなおひつに直接注ぐスタイルも、妙に楽しい。こうしたタイプのメニューは一般にお茶碗が付くものだが、食べ進むうちにできる隙間に直接だし汁を注ぐと特別感が加わるから不思議だ。

 色が映え、誰もが好感を持つだし巻き卵は、豪快にのせるだけでも魅力的なメニューとなり得る。既存食材と思わぬ組み合わせ方をすると、お客を呼ぶ名物メニューが誕生するかもしれない。

 ●店舗情報

 「魚介イタリアン×チーズ UMIバル 新宿店」

 経営=ココロオドル/店舗所在地=東京都新宿区西新宿7-16-6森正ビル地下1階/開業=2016年/席数=55席/営業時間=11時30分~23時30分、土日祝11時~23時/平均客単価=昼1200~2000円、夜3500~4500円/1日平均集客数=平日100人、週末200人

 ●愛用食材・資材

 「白だし(マルシロ)業務用」 Mizkan(愛知県半田市)

 イメージしていた味

 カツオと昆布をベースに複数のだしを合わせた「だしののび」がよい白だし。同店では「極!たまご丼」に添えるだし汁やだし巻き卵の下味に使用している。「塩味とうまみのバランスがよい味。イメージしていた通り、風味のある素直なだし汁そのものの味わい」と南雲氏は言う。

 規格=1.5L

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