アポなし!新業態チェック(216)「伝説の肉そば屋」御茶ノ水店

2025.08.04 558号 11面

 ●アントワークスがラーメンの新業態 「すた丼」の味がラーメンに スタミナに加え素材にもこだわり

 「伝説のすた丼屋」など、肉系ブランドを中心に展開するアントワークスが、ラーメンの新業態「伝説の肉そば屋」を東京・千代田区のJR御茶ノ水駅近くに出店した。

 同社の主力ブランド「伝説のすた丼屋」の一部店舗で2024年から販売を始めた限定メニュー「すたみな肉そば」が好評であったことから、現在、大きな問題となっている米不足による米価の高騰を踏まえて、米飯に代わる麺類の新ブランドを開発。麺やスープは同店のために新しくつくり上げ、秋田県産のあきたこまちや、イベリコ豚を使用したトッピングの豚ばら肉、焼豚など、素材にもこだわりを打ち出す。

 メニューは、「すた丼」などの味を決めている「秘伝のニンニク醤油」を使った「肉そば」(830円)、「味玉肉そば」「ニラ肉そば」(各990円)を中心に、味噌味の「ニンニク味噌 肉そば」(890円)や、スープのない「汁なし魚介とんこつ 肉そば」(990円)、ニンニクが入らない「生姜醤油 肉そば」(850円)などのバリエーションを揃えた。ラーメン以外には、「チャーハン」(並530円、半290円)や「すたみな餃子」(5個330円、3個190円)など。「肉そば」の肉は豚ばら肉が標準だが、焼豚に変更することも可能で、肉の量を増やしたり少なくするなども選べる。

 同社では、「すた丼」と同様に“肉とニンニク”をメインに据えたこのラーメンを、「伝説系すたみなラーメン」と呼び、次世代の主力となるブランドとして育成する計画のようだ。(価格は税抜き)

 ★けんじの評価:強力なファン顧客、強みが課題にも

 アントワークスは、1971年に東京・国立で創業したラーメン店「サッポロラーメン」を前身としている。この店の創業者が、現在の「すた丼」の原型となったメニューを「スタ丼」という名称で発売し、人気を集めた。その後、創業者が亡くなり、既存店の従業員がそれぞれの店舗を運営する中で、89年に有限会社としてアントワークスが設立される。同社は2000年、ラーメン店ではなく「すた丼」を主力商品とした「名物すた丼の店」を東京・八王子にオープン。01年には株式会社へと改組し、04年に現在のブランド名である「伝説のすた丼屋」へと店舗の屋号を変更している。現在は、ステーキ店「デンバープレミアム」などの他ブランドも含めて、200店舗以上を展開する規模となった。

 臨店時はオープンから1カ月以上が過ぎていたが、昼時にはときたま店頭に入店待ちの列ができるほど。思いのほか、来店客の年齢層は高い。同店に対する「食べログ」のレビューなどを見てもわかるが、「すた丼」は強力な顧客ファンに支えられた商品だ。それは同社の大きな強みだが、しかし同時に、顧客層が限定される可能性は気になるところ。

 客席は大部分がカウンター席で、席ごとに備えられた端末から注文するのだが、会計は店内の隅に置かれた機器で行う。カスタマイズの多いラーメンという商品では、調理場で注文内容を確認する工程や、会計がスムーズに行われるかどうかに関して、システムの完成度も重要な要素の一つとなるだろう。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「伝説の肉そば屋」御茶ノ水店

 開業=2025年5月8日/所在地=東京都千代田区神田駿河台2-4-4 お茶の水西脇ビル1階

 ●編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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