アポなし!新業態チェック(219)「松太郎」新宿小滝橋通り店
●松屋フーズが本格派のラーメン専門店 こだわりの食材と独自の製法で、絞り込んだ商品を低価格で提供
松屋フーズホールディングスの傘下で「松屋」などを運営する松屋フーズが、ラーメン専門店の新業態「松太郎」を東京・新宿に出店した。
同店は、ベースとなる醤油ラーメンと塩ラーメンを中心に、最低限のメニュー構成に絞り込んだラーメン専門店。入口から奥に向かって細長い店内は、左右の壁面に沿ってカウンター席のみの20席が並び、一番奥に、商品の受け渡し口と厨房がある。商品の注文は入ってすぐ脇の券売機で行い、出来上がったら受け渡し口に取りに行く。下膳も自ら行うというファストフードのスタイルだ。
メニューは、醤油・塩ともにメンマとチャーシューののった基本のラーメンが各680円。味玉1個が付いた「味玉醤油・塩」は各780円、チャーシューを増やした「チャーシュー醤油・塩」が各980円、その両方をのせた「味玉チャーシュー醤油・塩」は1080円という、わかりやすくシンプルな組み立てだ。
麺類はほかに、「冷やし中華」(780円)と「冷麺」(980円)の2種類のみ。サイドメニューとして、「おにぎり」(鮭・青唐辛子味噌、各180円)、「貝柱じゃこミニ丼」(380円)、「餃子」(3個180円、5個300円)などがある。「ビール(小)」や「レモンサワー」、「ハイボール」はいずれも380円だ。
魚介系のスープをベースに、醤油ダレには4種類の醤油をブレンド。麺には北海道産の小麦、青森のブランド米や有明海産の海苔など、味や食材にこだわった専門店のラーメンを提供する。
(価格はすべて税込み)
★けんじの評価:独り客をターゲットに激戦区へと出店
「松屋」の創業は中華飯店であったという。同社は2017年、ラーメンやチャーハンがメインの「松軒中華食堂」をオープンし、現在は10店舗ほどを展開している。「松軒中華食堂」はその名の通りラーメン専門店ではなく食堂のスタイルで、競合として想定されるのは「幸楽苑」や「日高屋」といったあたりか。それに対して、今回の「松太郎」は個人オーナーのラーメン職人が経営するような専門店に近い業態だ。豚骨を中心としたスープではなく、魚介だしの風味が強い澄んだスープで、業界では“淡麗系”などと呼ばれているタイプのラーメンである。価格を考えれば、ラーメンのクオリティーは十分に高い。カウンター客席は1人ずつ仕切られていて、1人客をターゲットにした業態だとわかる。
同店は、新宿駅から大久保駅方面に向かって延びる小滝橋通りに面した路面店で、既存の「松屋」を業態転換した店舗だ。この周辺はラーメン激戦区として知られ、創業が1996年という老舗「麺屋武蔵」の総本店など、狭いエリアに個性的なラーメン専門店がひしめく。そうした店の多くは、将来ラーメン店での独立を夢見るような意欲の高い従業員によって支えられているのだが、筆者が臨店した際の「松太郎」は、外国人と女性のスタッフで運営されていた。チェーン化に向けて、この差は大きいだろう。
9月からは営業時間が変更になったようだ。運営形態や店舗規模などが最適化され、フードコート出店などが可能になれば、かなり強力なブランドとなるかもしれない。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「松太郎」新宿小滝橋通り店
開業=2025年7月30日/所在地=東京都新宿区西新宿7-7-28 第一山本ビル1階
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/











