メニュートレンド:スパイス料理の新たな幕開け 年代問わず支持されるスパイス使い
前菜メニューは定番10品、限定3品前後を揃える。「スパイス麻婆豆腐」は、ライスと副菜付きのセットや汁なし麺のバリエーションで食事メニューとしても人気。また地元で開催される「四川フェス」に数々の名店と共に出展し好評を博した。具材は豆腐だけでなく、エビ、キクラゲ、ニンニクの芽も入って満足度が高い
まだまだ希少業態だが、じわりと「スパイス・バル(酒場)」なる店を見かけるようになってきた。東京・中野の住宅街のど真ん中で営む「Spice Bar SUZU」は、一品料理、食事、ドリンクの全方位でスパイスを打ち出しつつ幅広い客層に支持される味作りを成功させている注目すべき店だ。
●客と向き合い最適解を模索
同店の個性を伝えるのにぴったりなのがメインよりも前菜料理。スパイスの香りと甘酢煮の酸味で和とアジアのミックスが絶妙な「せせりのスパイスピクルス」にはコリアンダー、ブラックペッパー、自家製ガラムマサラを、東南アジア料理の味を連想させる「サツマイモ春雨 干し海老のスパイス和え」にはインドで“悪魔の糞”の異名を持つヒングなど4種のスパイスを使用。インド料理のアチャールを彷彿させる「人参スパイスマリネ」はフェンネルなど3種のスパイスと、デュカと呼ばれるナッツとスパイスなどをミックスした中東のシーズニングを振りかけている。どれも居酒屋やバルにありそうなつまみ料理を独自のスパイス使いで巧みにアレンジしている。
オーナーの有賀司さんは前職がアパレル。同店には仕事やプライベートで訪れたヨーロッパや中東、東南アジアなどで経験した味を詰め込んだ。
「本場の味を忠実に再現するより、日本で馴染みのある食材や料理を旅先の食事で出合ったスパイス使いでアレンジした方が受け入れやすいと考えました」と有賀オーナー。
さらに特筆すべきは、日本人がスパイス料理にイメージしがちな辛さや痺れがほとんどない料理ばかりという点だ。
「お子さまにもお年寄りにも、スパイス料理の世界を楽しんでもらいたいという気持ちが強い」と、有賀オーナーは力を込める。食事メニューの核で赤と白を揃える「スパイス麻婆豆腐」やスパイスカレーも、辛さを小学低学年でも食べられるものから5段階で選べる仕組みにしている。
まだ珍しいコンセプトゆえ、スパイス使いのバランスは試行錯誤の日々。客の反響をみながら調整を重ねた結果、子連れ家族や年輩のリピート客が定着してきたそうだ。テイクアウトも売上げの15%近くを占め、「気軽に日常利用する客層の増加に手応えを感じる」と有賀オーナー。
ドリンクも「カルダモン レモンサワー」などスパイス活用アイテムを多数揃え、夏期限定のかき氷でも独自のスパイス使いで好評だったとか。多彩なスパイス活用の魅力を発信する同店の展開に注目したい。
●店舗情報
「Spice Bar SUZU」
経営=ディートエル/店舗所在地=東京都中野区上高田1-49-10 1階/開業=2021年11月/坪数・席数=10坪・19席/営業時間=11時30分~14時30分、18時~22時30分(月曜は~22時、土日曜は通し営業)。火曜定休/平均客単価=昼1500円、夜2500円
●愛用食材・機器
「塩こうじ」 ハナマルキ(長野県伊那市)
まろやかな塩味、食材を軟らかに
「スパイス麻婆豆腐」の「白」や、スパイス麻婆麺(汁なし)の麺の下味付けなどに使用。「まろやかな塩味とくせのないコクが気に入っている」と有賀オーナー。限定メニューの自家製チャーシューは同品に2日間漬け込んで、肉を軟らかくしているという。
規格=1kg(常温)












