クローズアップ現在:“目立たない”料理に特化 人気店を作るコツ

2026.10.05 572号 07面
東京・練馬の「アジ好きですか?」はアジに特化し人気を呼んでいる。120~130℃の低温で揚げることで、衣が白金色に仕上がる「プラチナアジフライ」が名物。写真は通常のアジフライとプラチナアジフライの食べ比べが楽しめる「食べ比べアジフライ定食」(1,900円・税込み)/外食レストラン新聞26年5月号「メニュートレンド」より

東京・練馬の「アジ好きですか?」はアジに特化し人気を呼んでいる。120~130℃の低温で揚げることで、衣が白金色に仕上がる「プラチナアジフライ」が名物。写真は通常のアジフライとプラチナアジフライの食べ比べが楽しめる「食べ比べアジフライ定食」(1,900円・税込み)/外食レストラン新聞26年5月号「メニュートレンド」より

【写真2】ロイヤルホストが11月中旬までの期間限定で販売している「ほうじ茶香るお芋のパフェ」(1,518円・税込み)

【写真2】ロイヤルホストが11月中旬までの期間限定で販売している「ほうじ茶香るお芋のパフェ」(1,518円・税込み)

【写真3】名脇役、準主役のような存在の料理は、「飽きない味」「無くてはならない」料理ともいえ、専門店や新メニューに採用するとロングランになる可能性がある

【写真3】名脇役、準主役のような存在の料理は、「飽きない味」「無くてはならない」料理ともいえ、専門店や新メニューに採用するとロングランになる可能性がある

夏は素麺、冷やし中華、ざるそばを食べ、冬はアツアツのうどんが定番。そんな人は少なくないだろう。一方で“ひやむぎ”は話題に上がることや、飲食店、コンビニメニューで見ることも少ない。アジフライはどうだろうか。居酒屋や定食屋の人気メニューだが、主役かと問われると個人差がありそうだ。しかし今、こうしたどちらかといえば目立たない一品にフォーカスした店が人気になっている。

●「ひやむぎ」だけを全面推しの店に

東京・錦糸町に店を構える「特選ひやむぎ きわだち」は、自家製麺が自慢のひやむぎ専門店だ。ひやむぎに魅せられた亭主による全粒粉入りのこだわり自家製麺と、トッピングにトレンド感を取り入れて差別化を図っている。「ひやむぎのおいしさを広めるには専門店が良いだろうと判断した」とご亭主。

ここで改めて“ひやむぎ”の定義を見直してみる。素材はすべて同じだが、素麺は直径1.3mm未満、ひやむぎが直径1.3mm以上~1.7mm未満、うどんが直径1.7mm以上と、直径の長さで名称は決まる。さらにきしめんになると幅4.5mm以上、厚さ2.0mm未満で、帯状のものと形状も定まっている。加えて素麺は丸形だが、ひやむぎ、うどんは、切り方や麺の伸ばし方で形状が異なり、四角と丸形の両方がある。定義を知らずに、太めの素麺だと思って何となくひやむぎを食べていることがあるかもしれない。しかし専門店として注目されれば、新たなおいしさに気づくことができる。

●隠れファンも多いアジフライ専門店

元寿司職人が手掛ける「アジフライ専門店」は東京・門前仲町に店を構える。揚げたてを食べてほしいと2貫ずつ(この店では、寿司同様に貫で数える)出される。見た目も特徴がある。切り身として厚めにカットされているので、食感が一般的な開いた形状とは異なる。さらに寿司屋で培った素材への目利きがあり、丁寧な下処理をして揚げるなど専門店としての価値を高めている。

●抹茶、煎茶に続く、ほうじ茶を格上げに

抹茶人気に続き、インバウンド需要も伴い、ほうじ茶も注目されている。抹茶スイーツを出す店でのほうじ茶スイーツは定番メニューになりつつある。京都に本店を構え、東京・銀座に支店がある中村藤吉本店では、抹茶スイーツとともにほうじ茶スイーツも充実しておりインバウンド客に人気となっている。ほうじ茶はカフェインがコーヒーに比べて少なく、ビタミンCも豊富で、ヘルシーなイメージがあることも人気を後押ししている。

●勝負できる“目立たない料理”の共通項

3事例の共通点として、(1)目立ちはしないが、もともと長く定番メニューとして存在している (2)「嫌い」な人が少なく、万人受けする (3)フォーカスされてこなかったが、フォーカスされると改めて「おいしい」に気づく (4)どこかほっとする、安心する味わい (5)ヘルシーなイメージがある (6)オーナーのこだわりや個性が光る–など。今まで名脇役、準主役のような存在であったということは「飽きない味」「無くてはならない」料理ともいえ、新店舗や新メニューがロングランになる可能性も高い。長く愛されてきた馴染みのある食べ物であることが必須だろう。

●デカ盛り、背徳グルメの真逆をいく可能性

共通項として「ヘルシー感」を挙げたが、一般的には、ひやむぎはラーメンよりはヘルシーイメージがあるだろうし、ほうじ茶しかり。また、アジフライは揚げ物だが、トンカツやメンチカツなどの主役になる肉系と比較すると、魚介はヘルシーなイメージがある。今後はエビフライ専門店や野菜揚げ専門店、厚揚げ専門店などといった肉系ではない揚げ物専門店も、こだわりや個性を客に伝えられれば、人気店になる可能性は高い。

物価高や将来が見えにくい社会背景では、デカ盛りや背徳グルメ、激辛などが人気になるといわれているが、一方では、安心したい、ほっとしたいといった真逆のニーズもある。主役になる準主役グルメはほかにもありそうだ。

(食の総合コンサルタント トータルフード代表取締役 メニュー開発・大学兼任講師 小倉朋子)

【写真2 写真説明】

ロイヤルホストが11月中旬までの期間限定で販売している「ほうじ茶香るお芋のパフェ」(1,518円・税込み)。大学芋、スイートポテトクリーム、十勝ぜんざい、白玉、カシスアイス、煎り玄米などを重ね、ほうじ茶の香りをまとった寒天を合わせている

【写真3 写真説明】

名脇役、準主役のような存在の料理は、「飽きない味」「無くてはならない」料理ともいえ、専門店や新メニューに採用するとロングランになる可能性がある/ひやむぎ専門店「特選ひやむぎ きわだち」(東京・錦糸町)は、小麦粉と石臼挽き全粒粉を独自にブレンドしたひやむぎを専門に展開する珍しいタイプの店

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