外食の潮流を読む(137)一皿の中にストーリー性を詰めたスープパスタをバラエティで訴求
7月31日、東京・蒲田に「パスタ食堂Tiger Pasta」がオープンした(13坪・18席)。立地は、飲食店が立ち並ぶエリアから離れた西蒲田で、駅から徒歩4分ほどの場所。同店を経営するのは蒲田でドミナント展開している株式会社トエックスダイニング(本社/東京都大田区、代表/吉田拓郎)。同店は4店舗目となる。
同店のパスタの品揃えは約10品で、代表的なメニューは「辛玉アラビアータ」(1518円、以下すべて税込み)と「大葉と明太子クリーム」(1628円)、このほかは「今月のスープパスタ」として、折々に創作メニューを打ち出していくようだ。
同社代表の吉田氏は、神奈川県三浦市の出身。キックボクサーとして活動していたが、タイトルマッチで敗退したことをきっかけに、「飲食の世界でトップを取りたい」と起業を志した。その後、ダイヤモンドダイニングに5年間勤務。住んでいた蒲田の自宅の近くで物件が出たことから、ここで創業店を開業した。
「蒲田の飲食の市場性は、1号店の物件を取得してから把握した」ということだが、「蒲田は自分の地元の三浦と似ていて、人情味の厚い風情ある土地柄」と感じ、蒲田での飲食店経営に思いを込めるようになった。これまで中高年男性を対象とした大衆酒場のイメージが色濃かった蒲田の中で、「女性も気軽に立ち寄ることができる」バルやビストロを展開していった。こうして同社が運営する店舗の存在感は、蒲田における飲食の多様性を豊かにしていった。
また、蒲田は「ラーメン激戦区」として知られていて、男性客を対象とした食事業態が多い。そこで吉田氏は「女性客をターゲットに、ランチからディナーまで日常的に利用できる食事業態には、可能性がある」と考え、「タイガーパスタ」を開発した。
同店が目指しているのは、特別な日に訪れるレストランではなく、「日常的に利用したくなるスープパスタ専門店」。ランチから仕事帰りの軽い食事、軽い一杯に至るまで幅広いシーンで利用できる店舗というわけだ。
看板商品の「スープパスタ」は、鶏白湯とブイヨンを合わせたWスープを採用し、コクがありながら飲みやすく、最後まで楽しむことができる。具材は大きめにカットし、一皿で満足感を得ることができるように工夫。テーブルには、味変を楽しむことができるように、さまざまな調味料を用意した。残ったスープにライスを入れて、リゾットとして楽しむことも提案している。
前述2品に加えて、おすすめメニューを4品挙げておきたい。それは、「鶏と茄子のグリーンカレー」(1628円)、「イカ墨とウフマヨ」(1848円)、「海老とトマトのアメリケーヌ」(1738円)、「トマトすき焼き」(1958円)である。同じカテゴリーであっても、それぞれが主張を持ったメニューとして存在している。一度体験した人は、「今度は別のスープパスタを食べてみたい」と思って、リピーターになっていくことであろう。
(フードフォーラム代表・千葉哲幸)
◆ちば・てつゆき=柴田書店「月刊食堂」、商業界「飲食店経営」の元編集長。現在、フードサービス・ジャーナリストとして、取材・執筆・セミナー活動を展開。















