デリカの「今」がわかる中食通信:売れてるご当地デリカ惣菜弁当100選(1)マミーマート
スーパーデリカならではの奇跡「粒マスタードポテトタマゴハムサンド」 322円(税込み) 約250g 「厚切りハムカツとタマゴサンド」 356円(税込み) 約210g 「BLTサンド 378円(税込み)」 約200g 「イタリア産トリュフ香る自家製たまごサンド」 322円(税込み) 約170g POINT=専用パンを毎日焼成
◆目利き客も納得の質実デリカ 目的意識を喚起する付加価値アップ
埼玉県を地盤に76店を展開するマミーマート社は、半径500m商圏の「マミーマート」(43店)、大型店の「生鮮市場TOP」(25店)、「マミープラス」(8店)を有する中堅スーパー。特に後者は生鮮3品の充実に定評があり、質実に敏感な目利き客が多いため、デリカ(惣菜弁当)も実直な商品開発が目立つ。その象徴がダントツ人気の「鶏天」だ。地元では「和風フライドチキン」との呼び声が高く、前者を含めた全店年商は4億円に達する。その他、研さんを重ねた定番の逸品を紹介する。
●ダントツは「鶏天」 和風だしが決め手の和風フライドチキン
「国産鶏使用のやわらか鶏天」 2個・192円(税込み)、4個・322円(税込み)、6個・430円(税込み)/1個・約60g
POINT=ライバルは「あの店」
現物だけ見たら「あの店の新製品?」と見まがうほど。実際、地元では「和風フライドチキン」との呼び声が高く、「こちらの方が食べやすい」との評価が高い。2014年の発売から毎年リニューアルを繰り返し、いまや惣菜はおろかマミーマートの顔役に定着。まさに来店動機を喚起する鉄板惣菜の位置付けにある。おいしさの自慢は「しっとり軟らかい国産鶏むね肉」。風味と食感にこだわり、原料は生チルドに限定している。味作りの決め手は独自配合した「和風だし」。鶏肉の調味液、天ぷら粉の希釈液として、ダブル活用で調味いらずのほどよいうまみを演出している。また、1個・約60g(生肉45~50g)のボリュームも自慢。丁寧かつ手切りならではの見栄えが見事だ。さらに量り売りではなく、2・4・6個パックのわかりやすい個数売りも潔い。「本品が強すぎて他の惣菜が目立たない」という贅沢な悩みが課題とか。
●チーズ入りをインフォームドコンセント
「魅惑のとろける4種のチーズ入りメンチカツ」 1個・171円(税込み)、2個・322円(税込み)/1個・約120g
POINT=理解・納得・同意して気持ちよく購入
医師が患者に容体・検査・治療を十分に説明し、患者は理解・納得・同意して治療を受けることを「インフォームドコンセント」という。その惣菜版である。「チーズ入り」いう称号は多々あれど、実際はチーズの量が少なかったり、チーズが具材に溶け込んでいたり、誇大広告まがいのケースも少なくない。対して本品は丸ごと売りのほか、中身のチーズ量を視認できる半分カット売りも実施。お客が納得して購入できる。チーズはカマンベール・ゴーダ・チェダー・マスカルポーネの4種類を配合。1個当たり20gのチーズ量は、まさにチーズ入りの称号にふさわしい。
●何も足さない、何も引かない
「北海道じゃがいも使用 本気じゃがコロッケ」 5個・322円(税込み)/1個・約85g
POINT=つぶしポテト2種配合
サントリー山崎の「何も足さない、何も引かない」を彷彿させる崇高なコロッケ。タネは北海道産男爵芋100%。芋の「全つぶし」と「半つぶし」を配合し絶妙な風味と食感を演出している。芋の持ち味を生かすためバッター液は控えめ、鮮度訴求のため自社工場で生パン粉を付け、店内で油調。優しく、飽きず、オーブントースターにかければ揚げたてが蘇る。原材料は最小限に、調理は忠実に、丁寧に丁寧を重ねた手間と熱意が垣間見える逸品だ。
●シュウマイのポテンシャルを証明
「国産豚肉のあらびき肉焼売」 5個・322円(税込み)/1個・約50g
POINT=クワイの食感が心地よい!
ギョウザとシュウマイは飲茶の双璧だが、惣菜市場では圧倒的にギョウザが強い。ところがマミーマートでは売上げ6対4で焼売が餃子を上回る。おいしさのポイントは(1)直径約5cmのボリューム(2)プリプリ食感の粗挽き肉(3)クワイの絶妙なアクセント。いずれも現場発想によるものでPB製造を委託。オンリーワン訴求で根強いファンを獲得している。ギョウザの競争は激しいが、シュウマイは意外に穏やか。看板商品に育てるポテンシャルは十分にありそうだ。
●スーパーデリカならではの奇跡
「粒マスタードポテトタマゴハムサンド」 322円(税込み)/約250g
「厚切りハムカツとタマゴサンド」 356円(税込み)/約210g
「BLTサンド」 378円(税込み)/約200g
「イタリア産トリュフ香る自家製たまごサンド」 322円(税込み) 約170g
POINT=専用パンを毎日焼成
「調理パンの販売倍増」を掲げて製造体制を強化。パン職人を採用してサンドイッチ専用のパンを毎日焼成するなど、惣菜部門の本気度を象徴する位置付け。売り物は「惣菜売場の花畑」と評される圧倒的な具だくさんと彩りよい見栄え。具だくさんに負けないようパンの食感を調整。しっとり包み込む口内調理を演出している。CVSサンドイッチやFFハンバーガーの値上げが続く中、この内容でこの価格はスーパーのデリカならではの奇跡だ。
◆店名「マミーマート」(本社・さいたま市)
取材店舗:生鮮市場TOP ビバモールさいたま新都心店
惣菜売上比率8%(店舗による)
◆社名=(株)マミーマート/本社所在地=埼玉県さいたま市北区宮原町2-44-1/創業=1959年/設立=1965年/店舗数=76店舗/年商=1450億円(2023年9月期)/従業員数=940人