外食史に残したいロングセラー探訪(73)らーめん専門店・ぶぶか「油そば」

2013.03.04 408号 08面
意外にカロリーが低くあっさりしている「油そば」(590円)

意外にカロリーが低くあっさりしている「油そば」(590円)

ブームのときは60分待ちの行列もできた(吉祥寺店)

ブームのときは60分待ちの行列もできた(吉祥寺店)

 スープ抜きのラーメンとして認知されている「油そば」は、東京の多摩地域が発祥とされている。その歴史は古く昭和30年代にもさかのぼる。油そばが全国的に紹介されるようになったのは、1995年に東京・吉祥寺にオープンした「らーめん専門店ぶぶか」の影響が大きい。同店の油そばを紹介する。

 ●7種類のブレンドオイルが香りを高める

 同店は日清食品グループの味の民芸フードサービスが運営している。創業に尽力した店舗開発部の国定裕儀部長代理は明星食品(現グループ内)の営業として入社後、「外食部門に移り社内ベンチャーとして立ち上げました。企業色をいっさい出さないをテーマにしたので、個人店発だと思っている人も多いようです。しかし、ラーメン作りは素人だったので苦労もありました」と振り返る。

 すべて独学で進められたプロジェクトは、路面店を出店する前、屋台のラーメン屋としてファミレス(同社系列)の駐車場で営業。試行錯誤を繰り返し、1年後、吉祥寺駅南口に豚骨醤油味のラーメン屋としてオープン。同商品が登場したのは、その3ヵ月後となる。

 「元祖と言われている珍珍亭の油そばのとりこになり、いつかこのような商品を出したいと思っていたので、油そばを採用しました。しかし、スープのないラーメンは理解されず、お客さまに怒られることもありました。1日1食、2食だったのが、今では300食出るようになり自分でも驚いています」と国定部長代理。

 同商品の人気に火がついたのが、1998年に日経新聞に取り上げられ、雑誌、テレビの取材が増えたことが大きい。地域の名物ラーメンが全国的に知られることになった。

 メニューは醤油豚骨味のラーメンと油そば、ライスの3点だけ。これは17年たつ現在でも変わりない。それだけに同商品に対するこだわりは大きい。麺は、たれと油の絡みを考え太麺を使用。特製の醤油ベースのたれは、焼鳥屋のたれと同じに継ぎ足されることにより角が取れ麺になじむ味わいを出す。油はあらゆるパターンを組み合わせて誕生した7種類のブレンドで香りを大切にしているなどだ。

 そして、今後の展開として「南口の本店が区画整理で閉店になりますが、北口をはじめ他店で、今までの味を守りつつ、もう少しバリエーションを増やしてもよいのではと思っています」と国定部長代理は話す。

 ●企業データ

 日清食品グループ/味の民芸フードサービス(株)/本社所在地=東京都立川市錦町3丁目6番6号中村LKビル2階/事業内容=味の民芸(61店舗)、水山(11店舗)、JINJIN(4店舗)、ぶぶか(4店舗)の運営(2012年12月現在)

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