消費者庁、メニュー・料理表示で意見交換会 業界“混乱”は必至

2014.03.03 420号 04面

 消費者庁が1月27日に開いた不当景品類および不当表示防止法(景品表示法、景表法)に基づく「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方(案)」の意見交換会はあらかじめ発言を希望していた業界や消費者団体の関係者が意見を述べる形式で進行、争点が絞りきれないままで終わった。消費者庁が示している考え方は現行のものよりも一歩踏み込んだものだが、市場の実態や他の法律との整合性が取り切れていないため、大幅な改定がなければ業界の混乱は必至だ。

 ホテルやレストランのメニューなどで誤表示、偽装の問題が13年10月に表面化し、政府は同年11、12月に食品表示等問題関係府省庁等会議を開いて、省庁間での情報の共有化や課題などを整理した。その中で消費者庁は同12月19日、景表法の課題を整理、メニューなどでの表示について景品表示法の考え方の案をまとめた。外食のメニューの表記についてはJAS法では規制しづらいため、景表法での対応となった。

 食品の表示制度に詳しい関係者は考え方について、「法律屋が実態を知らずにまとめた。その場しのぎの感がぬぐえない」と厳しい見方だ。

 考え方では例えば市販の果汁を提供しても、「絞りたて」など果物そのものを絞って作られたかのように認識される表記はできないと明記した。言い換えるならば「絞りたて」を表記しなければ、「フレッシュジュース」というメニューも可能となった。だが、JAS法の果実飲料の品質表示基準では、原材料に果汁、天然香料以外のものを使えば「フレッシュ」「生」などの表示を禁じている。JAS法で禁じているものをグラスに注いで提供すると、「フレッシュジュース」となるのは明らかに矛盾する。考え方には他にも既存の法律や市場の実態と整合性が取れない解釈がある。考え方は「景表法自体の解説」「牛肉、魚介類などの個別の品目についてのQ&A」で構成されているが、そもそも「メニューとはこうあるべき」という文章が明記されていない。

 消費者庁は5日に景表法改正案の骨子を与党にも示す予定。監視体制の強化、課徴金の増額などが盛り込まれる見込みだ。Q&Aについて与党の意見は聞くだろうが細部にまでは議論しないだろう。

 法律の改正前でも、2月中に農林水産省で表示を監視している食品表示Gメン、200人が景表法にも対応できるようにする。食品表示Gメンは店頭で商品を買い上げて農水省も所管するJAS法関連の表示などをみているが、実際には食品衛生法の表示に違反している商品について保健所、厚生労働省にも連絡していて、景表法にも対応は可能だろう。

 だが、違反か違反でないかの判断の目安となる考え方がJAS法と景表法で矛盾していると、行政と食品産業の現場も混乱するばかりだ。

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