低コストにこだわる必勝居酒屋メニュー(その14)鶏砂肝
鶏の砂肝は別名筋胃と呼ばれているように、胃袋の筋肉部分といえるもので、コリコリとした独特の食感が特徴だ。その食感ゆえに好みが分かれるきらいもあるが、肌色の、筋皮と呼ばれる部分をむいて使用することで食感は俄然ソフトになり、きわめて食べやすい食材に変身する。やや下処理に手間はかかるものの、この筋皮をむかずに調理するとガチガチとした硬さが残り、食べづらいものとなるので注意が必要だ。
若干の手間を覚悟すれば、鶏砂肝はコスト的には有利な食材で、意外な利益商品を作ることが可能だ。現実には串焼き程度にしか使われていないが、実際はさまざまな料理に応用可能な食材だ。鮮度のよいものであれば生食もできる。生でも内臓類にありがちな臭みがほとんどないので、刺身やタタキ風の料理も面白い。単純にスライスしてニンニク醤油で提供するだけでも十分においしいし、塩とごま油をたれとして食べるのもよい。また、香味野菜とともにタタキ、韓国料理のユッケ風にするのも一法。独特の食感と味のユニークさにコアなファンがつく商品になろう。中華料理では下味を付けたものを素揚げにしたり、香味野菜と塩でボイルし、冷菜としてたれとともに提供するなど多様な使い方がある。素揚げして、コショウや花椒をふって出すだけでも手軽なおつまみになるし、中華醤油と八角でユックリと煮込んだものもおいしい。貴重になってきた低原価食材のひとつとして砂肝を上手に活用し利益を出そう。
◆鶏砂肝のアラビアータ
参考原価=116円
■使用食材(1人前)
鶏砂肝(100g)ニンニク(スライス10g)ライプオリーブ(スライス10g)レモン(スライス1枚分)コリアンダー(適宜)タカノツメ(輪切り適宜)一味唐辛子(1g)パプリカ(3g)オリーブ油(20g)バター(10g)塩(適宜)白ワイン(10ml)
■調理法
(1)鶏砂肝は3mmの厚さに切れ目を入れ、一口大に切り、塩と白ワインを絡める。
(2)オリーブ油にニンニクを入れて炒め、タカノツメを加える。
(3)(2)に(1)を入れて炒め、パプリカ、一味唐辛子、塩を加えてさらに炒める。
(4)耐熱皿に(3)を移し、バターをのせてライプオリーブを散らしオーブンで焼く。
(5)コリアンダーとレモンをあしらう。
■メニュー開発のコンセプト
コリコリとした食感とシャープな辛みが特徴のワインやビールにマッチするイタリアン風おつまみ。
■応用のヒント
オーブンで焼かず、炒め物として提供してもよい。隠し味にアンチョビペーストを加えると一層美味。
◆鶏砂肝の香味黒酢
参考原価=108円
■使用食材(1人前)
鶏砂肝(90g)長ネギ(粗みじん5g)ニンニク(みじん3g)根ショウガ(みじん3g)ニラ(5mm幅3g)ピーナッツ(8g)トマト(スライス30g)キュウリ(スライス15g)片栗粉(5g)タカノツメ(輪切り0.2g)ごま油(10g)サラダ油(適宜)A(黒酢15ml、醤油8ml、がらスープ10ml、砂糖8g)
■調理法
(1)鶏砂肝は3mmの厚さに切れ目を入れ一口大に切り、片栗粉をまぶしサラダ油で揚げる。
(2)ごま油でニンニク、根ショウガを炒め、ピーナッツ、タカノツメを加えてさらに炒める。
(3)Aで調味し、(1)と長ネギを入れて炒め合わせる。
(4)皿に盛り、ニラを散らし、トマトとキュウリを添える。
■メニュー開発のコンセプト
鶏砂肝の香ばしさと黒酢の酸味がマッチしたコリコリ食感が楽しい中華風つまみ。
■応用のヒント
カシューナッツや松の実を使ってもよい。