外食史に残したいロングセラー探訪(22)パステル「なめらかプリン」

2008.10.06 348号 12面

 まさにネーミング通りの食感とおいしさで、プリンブームを牽引したといわれるパステルの「なめらかプリン」。2008年、発売15周年を迎えた同商品だが、現在でも老若男女問わず根強い人気があり、主要ターミナル駅近くの売店では、出張前に手みやげとして求める男性客の姿も多く見られるという。

 チタカ・インターナショナル・フーズ(株)社長室第2グループマーケティングリーダーの梅原純子氏によると、「なめらかプリン」は、パスタとのセットメニューにするデザートとして生まれた商品だ。

 当時、恵比寿店のパティシエであった所浩史氏が、日本でも販売され始めたクレーム・ブリュレに着目。だが、「もっと日本人の口に合うものを」と、プリンとクレーム・ブリュレの中間の食感をねらった新しいデザートの開発を始める。何度も試作を繰り返したのち「なめらかプリン」が完成し、1993年10月から発売開始される。

 そして徐々に「なめらかプリン」のファンからテークアウトを希望する声が多くなり、1994年から現在の形でテークアウト商品としても販売を開始する。

 同商品は普通のプリンのように、牛乳、全卵、砂糖をベースに、バニラや酒で香り付けをするのではなく、生クリームを使用して独特のコクを、そして卵黄だけを使って独特の温かみのある味を出している。

 また、最大の特徴であるなめらかな口当たりは、オーブンでの焼き上げ技術によるもの。横から見ると、3層に分かれているのが分かるのだが、これは、乳脂肪の高い良質の生クリームを使用しているため、オーブンで焼き上がるまでの時間に乳脂肪がゆっくりと浮いてできる現象という。上層は乳脂肪の比較的高いコクのある味わい、中間層はさっぱりとしたおいしさ、そして下層にはカラメルと混ざり合うことで生まれるおいしさと3つの味わいを楽しめる。

 発売当初は、まったくの新しい食感に、「生焼けでは?」といったクレームも多かったという。しかし、1998年にテレビ番組でタレントが紹介したところ、お客が急増。全国の有名百貨店をはじめ、一気にデザートショップを展開するきっかけとなる。

 当時、ある地方での催事会場では約8時間で5000個を売り切ったという記録もあるほど、「なめらかプリン」はブームとなる。

 その後、「なめらかプリン」シリーズのカップデザートが次々と誕生しているが、同商品の人気はダントツで、現在でも出数シェア40%を占めているという。

 プリンの新しい形を提案し、もはや定番デザートともいえる「なめらかプリン」。これからも子どもからお年寄りまで、幅広い層に愛されていくことだろう。

 ●店舗データ

 「パステル」/経営=(チタカ・インターナショナル・フーズ(株))/東京本部所在地=東京都板橋区前野町3-15-15/第1号店開業=1984年3月/店舗数=レストラン88、デザートショップ83(2008年7月末現在)/客単価=レストラン:約1150円、デザートショップ:約1300円

 ◆パステル定番カップデザート

 パステルでは、「なめらかプリン」シリーズのカップデザートのレシピが約80種類以上あるが、店頭に並ぶのは約10種類で、季節に合わせて入れ替えられる。その中でも次の4品は、フェアや期間限定で発売されていたものが、好評のため定番化された人気商品だ。

 ・「なめらか抹茶プリン」(326円)

 高級抹茶をぜいたくに使ったまろやかな風味と、カラメルソースのバランスが絶妙。幅広い層から支持を得ている

 ・「なめらかイチゴプリン」(347円)

 イチゴのさわやかな風味と香りをプリンに封じ込めた。イチゴの果肉も加えて焼いてあり、ぜいたくな、見た目にもかわいい

 ・「なめらかキャラメルプリン」(326円)

 甘く香ばしいキャラメル風味のプリン。別添えの濃厚なキャラメルソースをかけると、さらにおいしさが広がる

 ・「なめらかマンゴープリン」(368円)

 3品種使用のオリジナルのマンゴーピューレが、マンゴーの香りとフレッシュ感を強調。アップルマンゴーの大カット果肉の食感とおいしさも楽しめる

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