低コストにこだわる必勝居酒屋メニュー(その23)イタヤ貝
イタヤ貝は板屋貝とも書き、ホタテ貝、ヒオウギ貝などと同様の貝類。わが国では北海道以南の砂地に広く分布しているが、その漁獲量は少なく、価格も高い。一方、中国からベトナムにかけては漁獲も多く、貝柱だけの形状で輸入されており、こちらの価格は安い。最近では冷凍のシーフードミックスにも使用されているが、見た目は豆ホタテの貝柱そっくりで、味もよく似ている。
生食も可能で独特の甘みがあり、癖のない味は万人向きといえる。ただ、形状が小さいため単品でのメニュー化はしづらい面があり、他の食材と組み合わせて使う手法がお薦めだ。生食ならばマリネ的料理やサラダ仕立てにしたり、寿司ネタとしても向く。加熱すると甘みが増し、適度な食感も出るので、さまざまな用途に使える。かき揚げには最適で、カットの必要もなく手間がかからないのも利点。グラタン類やピザの具材、パスタやライスメニューの具材としても使いやすく、高級感もあるため付加価値もつけやすい。
調理に際しては加熱し過ぎに注意したい。小さいためにすぐに中心部まで火が通り、加熱とともに収縮して身が硬くなるうえ、味も落ちる。早めに上げ、余熱で中心部の温度を調整することが味を生かすコツだ。
◇「イタヤ貝と山芋の2色揚げ」
卵白でよりふわっと
■参考原価=165円
■使用食材(1人前)
イタヤ貝(16g)山芋(40g)海苔(5cm角2枚)大葉(2枚)大根おろし(20g)おろしショウガ(3g)卵白(5g)レモン(1/2枚)ハジカミ(1本)天つゆ(80ml)サラダ油(揚げ用適宜)
■調理法
(1)山芋をすりおろし、卵白を加えてよく混ぜる。
(2)海苔を5cm角に切り、(1)とイタヤ貝をのせる。
(3)大葉に(1)とイタヤ貝をのせる。
(4)(2)と(3)をサラダ油で揚げる。
(5)皿に盛り、レモン、ハジカミ、大根おろし、おろしショウガを添える。
(6)天つゆを温め、別器に入れて添える。
■メニュー開発のコンセプト
卵白を加えてふわっとした食感に仕立てた山芋にイタヤ貝のうまみがマッチした、手軽な揚げ物料理。
■応用のヒント
天つゆの代わりに抹茶塩やサンショウ塩などの変わり塩で提供するのも一法。
◇「イタヤ貝のメキシカンサラダ」
さわやかな酸味と貝のうまみ
■参考原価=188円
■使用食材(1人前)
イタヤ貝(50g)玉ネギ(5mm角10g)キュウリ(5mm角8g)トマト(5mm角15g)レタス(細切り5g)セロリ(5mm角8g)コリアンダー(みじん0.2g)ライム(くし型1/8個)パセリ(みじん0.6g)バゲット(6枚)オリーブ油(25g)ライム汁(5ml)塩・コショウ(少々)
■調理法
(1)解凍したイタヤ貝を熱湯にさっとくぐらせ、氷水でしめて水気を切る。
(2)ライム汁に塩、オリーブ油、コリアンダー、コショウを加えて混ぜる。
(3)イタヤ貝を(2)に加えてからめ、玉ネギ、キュウリ、トマト、セロリを加えてあえる。
(4)バゲットにオリーブ油を塗り、パセリを散らし、軽くトーストする。
(5)グラスにレタスを入れ、(3)を盛る。
(6)ライムを飾り、バゲットとともに皿にのせる。
■メニュー開発のコンセプト
メキシコ料理の前菜「セビーチェ」をアレンジ。さっぱりとした酸味と軽いコリアンダーの風味が生きた、ワインやビールによく合うメニュー。
■応用のヒント
エビやタコ、貝類などと組み合わせてもおいしい。バゲットの代わりにトルティージャチップスを添えるのもよい。