アポなし!新業態チェック(26)「Cafe Shakey’s 外苑信濃町」

2009.01.05 352号 21面

 ロイヤルホストやシズラーなどを束ねるロイヤルホールディングスの子会社アールアンドケーフードサービスは、去る8月にピザレストランチェーン「シェーキーズ」の新業態「Cafe Shakey’s 外苑信濃町」をオープンした。出店場所は東京・新宿区にある明治神宮外苑内。JR総武線の信濃町駅を降りて外苑東通りの歩道橋を渡った向かい側、飲食店を数店舗集めた建物の1階に位置する。

 シェーキーズは、米国で1954年に創業されたピザレストランチェーンであり、日本では1973年に東京・赤坂の1号店を開業。2005年からロイヤルホールディングスの傘下となるが、シェーキーズとしての新規出店は2000年以降で初めてだという。

 屋内に76席のほか、50席以上のテラス席を持つ約90坪の大型店。メニューは、カウンターのケース内からチョイスする「デリ」(350円~)、ベースのサラダ(550円)にさまざまなトッピング(100円と150円)を加えて3種類のドレッシングを選ぶ「カスタマイズドサラダ」、1人前のスモールサイズ(750円~)と27cmのスタンダードサイズ(1250円~)がある「窯焼きピザ」などのほか、パスタやワンプレートディッシュ、グラタン、スープなど。夜間はワインやカクテルなどのアルコール類を豊富にラインアップし、平日のランチタイムにはドリンク付きで1000円以下のランチも提供する。

 同社では、この店を地域密着型の業態として位置付け、時間帯を問わずあらゆる客層に利用される店として展開する予定とのこと。

 ★けんじの評価

 シェーキーズといえば、その昔、学生たちの集まる店の1つだったと記憶している。アメリカの香りがする店内は、サーフィンが若者の必須アイテムだった時代の、アメリカ西海岸が憧れの地であったポパイ世代には懐かしき外食聖地だ。シェーキーズのピザはあくまでも「ピザ」であり、決して「ピッツァ」とは呼ばないところに米国発チェーンの意地があったが、ここではピッツァと呼ぶらしい。

 この店は、ワイアードカフェを手がけた入川英人氏がプロデュースした新業態だ。独立系カフェからスタートし、チェーンとして拡大を続けるワイアードの創始者だけあって、カフェのエッセンスが見事に凝縮された店内。入口扉に使われているパイプや不思議な懐かしさを感じさせる家具、素材を変えて段差を付けた空間、石張りの柱、壁面を飾るグラフィックなど、絶妙なセンスが随所に光る。特に必見なのはトイレだろう。あのシンプルで無機質な温かさは、なかなかできそうでできない空間だと恐れ入った。

 平日の午後4時。小学生の子どもたちを連れたアッパークラス主婦3人組、すでにワインなどを並べる若者グループ、詰め襟の高校生とその母親らしき女性、ブリーフケースを持った営業マン風男性、60代とおぼしき女性2人など、さまざまな属性の客層が違和感なく共存できる店内は、内装の微妙な気の抜き具合から生み出されたものだろう。

 スタンバイ中のスタッフが、邪魔にならず店内に目を配ることができるサービスカウンターやキャッシャーの配置のうまさにも舌を巻く。家の近くにでもあれば、週末の午前中を過ごしたいちょっとぜいたくな店だ。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ●店舗概要

 店名=「Cafe Shakey’s 外苑信濃町」/開業=2008年8月1日/所在地=東京都新宿区霞ヶ丘町14-1 明治神宮外苑信濃町休憩所1階/席数=128席

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。

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