近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:龍の子「担々麺」 師から学んだ日本式をアレンジ

2009.05.04 357号 16面
担々麺(1050円)

担々麺(1050円)

龍の子・安川哲二氏

龍の子・安川哲二氏

 「四川飯店」で生まれた「担々麺」を世に広げた「龍の子」の安川哲二店主。修業時代、師の陳建民氏から学んだ担々麺は、独立開業時、安川流の優しい味にアレンジされ、以来32年間、老若男女を問わず万人から愛され続けている。「担々麺」といえば「龍の子」、「龍の子」といえば「担々麺」といわしめる、ロングセラーの逸品を紹介する。

 担々麺とは本来、中国・四川料理の“汁なし肉味噌あえ麺”のこと。現在主流のスープを張った“日本式担々麺”は、四川飯店の創始者である故・陳建民氏が、ラーメンを好む日本人のために発案したものだ。

 だが当初、担々麺の知名度は、陳ブランドで先行する麻婆豆腐やエビチリに及ばず、中国飯店でも扱うのは少数派。そんな希少料理の大衆化に火を付けたのは、陳氏の愛弟子・安川哲二氏だった。

 安川氏は1977年、渋谷区神宮前に「龍の子」を独立出店。ランチの麺類を担々麺1本に絞り、師から学んだ味を、さらに親しみやすい“アッサリ系”に進化させた。

 安川氏は、「四川料理の魅力をいかにして伝えるか。生きた辛みをやわらげるバランスに苦心しました」と回顧。「芝麻醤、一味唐辛子、米酢の調味バランスが決め手です」と、独自レシピを打ち明ける。

 陳氏のレシピに比べ、芝麻醤を2割減らして軽口とし(1杯40g)、米酢を2倍にしてスッキリ感を演出(同10ml)。自家製ラー油に使う一味唐辛子の量を2割増やして辛みと赤色を強調(油1斗缶に一味2.5kg)。ラー油の使用量を減らして(1杯25ml)、油っこさを解消した。※レシピ詳細は写真説明参照。

 すると「毎日食べたくなる優しい辛み」と評判を呼び、32席ながら日販100食に迫る人気を獲得。創業から32年、メディア取材は多い時で年間100件以上。「忙しくても取材は受ける」という安川氏の誠実な対応が、担々麺のメジャー化を推し進めたともいえる。

 「四川省の地域性に育まれた辛みは、食欲が落ちる暑い時期、暖かさを欲する寒い時期、いずれにも最適。陳先生から学んだ“毎日食べたくなる料理”を追求したい」と安川氏。

 日本式担々麺は逆輸出され、今や中国でも大人気だという。かたや国内では、冷やし担々麺、担々焼きそば、担々鍋など、担々麺をヒントにした多くの新料理が定着している。

 安川哲二氏に学ぶ「龍の子オリジナル担々麺」(1050円)の模擬レシピを紹介する。

 ◆オリジナル・レシピ「龍の子オリジナル担々麺」

 香辣油(2g)中国醤油(30ml)芝麻醤(40g)ラー油(25ml)酢(10ml)うまみ調味料(適宜)を1杯分のたれとし、熱々の毛湯スープ300mlで割る。麺は卵麺(生110g)。ボイルした青梗菜、肉味噌を添え、ザーサイ、長ネギのみじんを散らす。

 ◆エバラで再現!模擬レシピ:龍の子風四川担々麺

 ◇使用食材(1人前)

 卵麺(1玉)深煎り担々麺スープ(50ml)辛味醤(5g)米酢(10ml)お湯またはがらスープ(300ml)肉味噌(豚ひき肉・適宜)青梗菜(ボイル・適宜)長ネギ(みじん・適宜)ザーサイ(みじん・適宜)

 ◇作り方

 深煎り担々麺スープ、辛味醤、米酢を器に入れ、お湯で割る。ゆでた卵麺を器に入れ、肉味噌、青梗菜を添え、長ネギを散らす。

 ◇ポイント

 辛味醤と米酢で安川流の辛みとスッキリ感を表現。分量は好みで調整。米酢の代わりに黒酢でも可。

 ◇龍の子 安川哲二氏から

 エバラの「深煎り担々麺スープ」と「冷し担々麺スープ」、両方を試しました。いずれもごまのコクとうまみが生きた、万人好みの味わいですね。お湯割りで味が決まる完成度の高さにも感心しました。私の味と比べると、辛みと後味(スッキリ感)が足りないので、辛味醤と米酢を加えて、近い魅力を演出しました。温・冷、どちらにも通用します。別添えにして、お好みで量を調整してもらうのも一法ですね。

 ◆使用食材

 ○「深煎り担々麺スープ」

 深煎りごまをたっぷり使用したごまの香ばしい風味、練りごまとピーナツを加えたマイルドなコク、サンショウを効かせた食べやすい辛みが特徴。お湯割りを想定した商品設計だが、がらスープでのばすと一層深みとコクが増す。規格=1kg×12袋

 ○「辛味醤」

 豆板醤、オイスターソース、魚醤、野菜・果実類、各種香辛料をブレンドした、使い勝手抜群の辛み調味料。辛さはもとよりコクのあるうまみも自慢。かくし味、薬味として、あらゆる料理の辛み付けに活用できる。規格=380g×12本

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら