冷やし麺特集:個性化に拍車 多様化で夏を勝ち抜く

2009.06.01 358号 04面

 気温25度を超える日が続くようになると、食べたくなるのが「冷やし麺」。黄色い卵麺に細切りのハム、キュウリ、卵という「冷やし中華」が夏の定番メニューだが、冷やし麺にも、多様化の波が押し寄せてきているようだ。ますます厳しくなる夏の商戦を勝ち抜くためにも、季節限定メニューの強化策は欠かせない。冷やし麺の現状と展望を探った。

 ◆冷やし中華は酸味控えめ

 お客の嗜好の多様化にともなって、冷やし麺の味のバリエーションも増えてきている。その傾向は大きく3つに分けられる。ひとつはいわゆる定番の冷やし中華、もう1つはラーメン専門店がそれぞれのスープの個性を生かした冷やし麺、そして北海道の「ざるラーメン」や山形の「冷やしラーメン」などに代表される「ご当地冷やし麺」だ。

 まず冷やし中華だが、酸味を抑えた味が支持されてきている。業務用の冷やし中華スープも、穀物酢主体から果実酢主体のマイルドな味わいに完全にシフトしている。冷やし担々麺スープに見られる“ごま系スープ”の人気が高まってきているのもマイルド志向の高まりによるものだ。

 マイルドな味だけが好まれているのかというと、一方では強烈な酸味の黒酢スープを使った冷やし中華、激辛の冷やし担々麺なども人気で、味の二極化が進んでいるといえそう。

 ◆冷やしにご当地ブーム!?

 ラーメン専門店では、それぞれ自分の店のスープのイメージを踏襲しながら、野菜の内容など彩りを出している。毎年トッピングに変化をつけて提案している店もあれば、つけ麺で通年とおしてしまう店もあり、千差万別だ。

 ご当地ラーメンブームに比例して、北海道のざるラーメンや「ラーメンサラダ」、山形の冷やしラーメンなど、ご当地冷やし麺も注目され始めている。中でも広島の「広島冷麺」は、醤油ベースのスープにごまとラー油をたっぷり入れたもので、強烈にユニーク。これからの注目株だろう。

 昔ながらの冷やし中華は夏になると誰もが1度は食べたくなるメニューであり、今後も絶対なくなることはない。だが、業務用冷やし中華スープの出荷量はここ10年、ほとんど変化がなく、一方でごま系スープは伸び続けている。

 定番の冷やし中華の販売期間はゴールデンウイーク明けから盆過ぎに集中するが、それ以外の冷やし麺は、例えば冷やし担々麺などは、4月から10月過ぎまでと比較的販売期間が長い。また、冷やし麺は野菜との相性がたいへんよく、男女問わずヘルシー志向のお客へ強く訴求できる。ラーメンの次のブームとしてそろそろ冷やし麺がブレークする条件は揃ったのではないだろうか。

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