中華料理特集 注目のユニークラーメン:らーめん笑店「とき玉子ラーメン」

2009.11.02 365号 11面
全卵を1分以上かけて丁寧に泡立てる

全卵を1分以上かけて丁寧に泡立てる

 名古屋市の今池エリアに“ラーメンのカプチーノ”と異名をはせる名物ラーメンがある。来店客の9割以上が注文するという「らーめん笑店」の「とき玉子ラーメン」である。約15年前に生まれたこのユニークラーメンは、日販約170食超を誇り、地元ファンから根強い支持を得ている。

 ◆麺の上にフワッ、トロッの新食感玉子 最後まで麺にからむ玉子のムース

 ラーメンと卵の組み合わせは珍しくない。ゆで卵、煮卵、薫製卵など数多い。だが、卵をきめ細かく泡立てて、丼をふんわりと包み込んだ事例は、実に珍しい。むしろ皆無だろう。

 今池店を切り盛りする山下澄子さんによれば、「とき玉子ラーメン」は店主の山下恭弘さん(現在は瀬戸店を営業)がまかないで作って食べていたものを常連さんに「食べてみたい」と言われて出したのが好評となったという。メニュー名こそ「とき玉子ラーメン」だが、ムース状にまで泡立てられた外見は「溶いだ卵」の域をはるかに超えている。女性客からは「ラーメンのカプチーノ」として親しまれているという。

 岐阜県産の新鮮なLサイズ卵を使用。注文が入るごとに1食分ずつ泡立て器を使い、手作業で泡立てる。全卵を1分以上かけて丁寧に泡立てる作業はかなりの手間となるが、当時の作り方を決して変えていないという。以前、機械式の泡立て器を試してみたが、泡だちも食感も手作業に遠く及ばなかったそうだ。

  泡立てられた卵の部分だけをすくって1口飲んでみると、濃厚な鶏がらスープのうまみを軟らかく包んで優しい味わい。黄身を含んだ全卵を泡立てているため、どこか「卵かけご飯」を食べるときの懐かしい風味を感じる。卵縮れ麺ともよくからみ、何より泡持ちのよさがよい。食べ終わるまでしっかりとムース状を保つので、最後まで卵をからめた味を楽しめる。

 醤油、塩、とき玉子の3種のスープからラーメンを選び、自家製のチャーシューなど7種類の具材を好みで加えるスタイルだが、9割以上がとき卵ラーメンを注文するという。

 ◆「らーめん笑店」(今池店)/店舗所在地=名古屋市千種区今池4-10-1 プロスパー第3ビル1階/開業=1956年3月/営業時間=午前11時~午後1時半、5時~11時、日曜日の夜定休/坪数・席数=20坪・30席/客単価=1000円

 ●愛用食材:「養老赤鶏の鶏がら」 朝絞めの新鮮鶏がらで澄んだうまみ

 スープは鶏がらだけを使用し、骨がボロボロに崩れるまで時間をかけて煮込む。朝絞めの生がらを毎朝市場に買い付けている。銘柄は岐阜県の地鶏「養老赤鶏」に限定。だしとり用ではないため、煮込む前に手作業で丁寧に汚れを取り除かなければならない。手間がかかるが、骨とその周りにはたっぷりと肉が残っているため、さっぱりとコラーゲン豊富なうまみの濃いスープになる。朝絞めの新鮮さゆえ余計な臭みや雑みがまったくない。

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