外食史に残したいロングセラー探訪(44)ピエトロ「サラダスパゲティ」

2010.10.04 378号 10面
「ゆで卵の上にドレッシングの赤ピメント(パプリカ)と黒オリーブの粒々がのっているのを見ると、食欲がそそられる」といった声も

「ゆで卵の上にドレッシングの赤ピメント(パプリカ)と黒オリーブの粒々がのっているのを見ると、食欲がそそられる」といった声も

1980年12月に創業、まもなく30周年を迎える。レストランで提供していたピエトロドレッシングは、現在では全国の百貨店、スパーマーケットなどで販売されている

1980年12月に創業、まもなく30周年を迎える。レストランで提供していたピエトロドレッシングは、現在では全国の百貨店、スパーマーケットなどで販売されている

 しっかりと歯応えを残しキリッと冷やしたスパゲティの横にサラダを盛り付け、自家製ドレッシングをたっぷりとかけた冷製の「サラダスパゲティ」。このメニューが提供されるようになって間もなく30年という年月がたつという。しかし、現在でも常にベスト5に入る、ロングセラーメニューである。

 1980年12月、福岡市天神に創業したパスタ専門店洋麺屋ピエトロ。ゆでたての麺に、好みのソース・具材の組み合わせで楽しめるスパゲティや、たらこや高菜、納豆など和の素材を使ったメニューが人気となり、次第に行列ができる店となった。

 さらに、お客が麺のゆで上がりを待つ間、前菜代わりに出していたサラダにかけた、創業シェフである村田邦彦氏(現(株)ピエトロ代表取締役社長)手作りの醤油ベースの和風ドレッシングも大変評判となり、口コミで広がり始めた。そのころ、「このドレッシングをかけると、子どもが野菜サラダを食べるので少し分けてもらえないか」といった主婦の要望には、ワインの空き瓶などに入れて分けていたという。

 だが、次第にそうしたニーズも増え、代金を置いていく人も多かったため、1981年からはボトルに詰めて店頭での販売を始める。そして1983年からは地元の百貨店でも扱われるようになった。これが現在、年間約1700万本以上販売している人気商品ピエトロドレッシングのスタートである。

 さて、このドレッシングとスパゲティとの組み合わせが生まれたのは、ある女性スタッフの食べたまかないから。短い休み時間の中、手早く食事を済ませたいのでスパゲティとサラダを一緒に食べられないかと、冷やしたスパゲティとサラダ用の野菜を1つの皿に盛って自家製ドレッシングをかけたところ、あっという間に平らげてしまったほどのおいしさだった。

 そこでシェフに提案し、試しにサラダスパゲティと書いた小さな紙をメニューブックにクリップで留めて出したところ、女性客からの注文が予想以上に多く、一躍人気メニューとなった。

 現在、使われている具材はゆで卵、玉ネギ、ニンジン、レタス、トマト、山菜ミックスなど計9種類。麺も野菜もしっかりと冷やし、麺の歯応え、野菜のシャキシャキ感を楽しめようにするのがポイントだ。もちろん、ドレッシングも十分に冷やして、よくかき混ぜたものをかける。

 村田氏によると、当時ピエトロサラダやサラダスパゲティを食べ終わったお客が、最後に残ったドレッシングを、まるで麺つゆのように飲みきる姿を見て、とてもうれしかったという。

 「夏だけでなく、冬でも定期的に食べたくなる」「さっぱりしたものが食べたいが、しっかりおなかを満たしたいときに食べたい」「野菜不足を感じたときに注文する。食べると健康になった気がする」と、発売当初から多くの女性客が興味と共感を持って支持し続けてきたサラダスパゲティ。30年も前に打ち出した「ドレッシングも主役の一つ」というコンセプトが、今も古びることなく支持されているメニューである。

 ●店舗データ

 「ピエトロ」/経営=(株)ピエトロ/本社所在地=福岡県福岡市中央区天神3-4-5/店舗数=「ピエトロ」国内67店舗、海外2店舗(2010年3月末現在)

 ●愛用食材:ドレッシング

 サラダスパゲティの味の決め手は、もちろん「ピエトロドレッシング(和風しょうゆ味)」。注文時に次の3タイプから選ぶことができる。

 ピエトロドレッシング:和風ドレッシングの草分け的商品。玉ネギのうまみと醤油の風味が生きている。

 ピエトロドレッシングライトタイプ:定番の和風醤油の味をそのままに、油分を50%カット(同社比)。コレステロールゼロ。

 ピエトロドレッシンググリーン:油分70%、カロリー60%カット(同社比)。さらにコレステロールもゼロ。

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