近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:HATTI「インドカレー鍋」
冬季予約客のほぼ100%が注文するというユニークなインド料理がある。東京・新宿のインド料理店「HATTI(ハッティ)」(以下、ハッティ)の「インドカレー鍋」である。味の決め手は、鶏がらベースのカレースープと具材のマトンコフタ(羊肉ミンチ団子)。キレのあるカレースープと濃厚なマトンだしの絶妙な調和がリピーターを魅了してやまない。
そして、料理の人気もさることながら、注目すべきは通年営業へのテコ入れ効果だ。普通、インド料理店やカレー店の売上げは、夏季をピークに冬場は2~3割ダウンするが、同店の場合、鍋効果で逆に倍増したという。味作りにも集客アップにも参考になりそうなインドカレー鍋を紹介する。
◆営業の概況:バランスよいテコ入れ効果 売上げの山場も年2回に
ハッティの立地はJR新宿駅西口から徒歩7分の飲食街。客層は、平日は会社員が大半、休日はインドカレー鍋目当ての一見客も多い。
開業は2007年7月。11月にインドカレー鍋を打ち出したところ、多くのメディアで取り上げられ一躍集客アップ。冬季は予約満席も珍しくなく、ほぼ100%がインドカレー鍋を注文するという。
吉川浩伸社長は「インド料理店は食事主体の業種。カップル客や個人客が多く、アルコール比率は低い」と一般論を前置きし、「インドカレー鍋を出してからグループ客の予約とアルコール注文が急増。売上げは倍増しました」と営業効果を明かす。
冬季に比べ夏季は日販2~3セットと極端に落ちるが、もとより夏季は個食のカレー料理が強いため、とくに問題はないのだという。
ほかに「インド定食ターリー屋」を7店舗、FCで展開しており、同店はそれらのセントラルキッチンの役割も担っている。
◆特徴と調理:濃厚なマトンとキレのあるカレースープがマッチ
インドカレー鍋は、鶏がらスープと約10種類のスパイスを合わせたカレースープに、マトンコフタと洋野菜など加え煮込んだもの(詳細写真参照)。カレースープのポイントは、煮込み後の調和を想定した薄めの濃度だ。
吉川社長は「あっさりキレのあるカレースープ、マトンコフタの濃厚なコクと香り、野菜のうまみ。これらが相まって完成するので、カレースープの濃度は薄めで十分」という。
また、鍋を作る際の料理人のテーブルサービスも見どころ。客席で鍋に火をかけ、サラダ油を加えて熱し、クミン、ニンニク、ショウガ、玉ネギなどを炒め、カレースープを注ぐ。この一連の作業は、まさにカレー調理そのもの。臨場感豊かに香り立つパフォーマンスが大ウケしている。
◆発祥と展開:インド人コックが祖国に持ち帰りたいと太鼓判
メニュー開発は2007年11月、ある新聞でカレー鍋のトレンド予測記事を読んだのがきっかけ。居酒屋や市販用製品の先駆事例を試食して、「インド料理店なら、もっと本格的なカレー鍋を作れるはず」(吉川社長)として着手した。
「鍋料理は完食しないと味を判断できない。試作ごとに完食するのが大変でした」と吉川社長。試行錯誤の上、開発に携わっていたインド人コックが「この味を祖国に持ち帰ってインド鍋料理店を開きたい」というカレースープが完成し、メニュー化に至った。
現在、インドカレー鍋は系列FC店のインド定食ターリー屋でも展開。昨今はタジン鍋で1人前を提供する「1人インドカレー鍋」(890円)も売り出し、人気に拍車をかけている。
●店舗情報
「HATTI(ハッティ)」 所在地=東京都新宿区西新宿7-5-5プラザ西新宿1階/営業時間=午前11時半~午後3時、6時~午前0時、無休/坪数・席数=55坪・70席/1日来店客数=120~200人/客単価=昼1,000円、夜4,500円
◆エバラで再現!模擬レシピ
●作り方
2人前=「チキンがらスープN」(40g)、「スープカレーラーメンスープ」(75g)、水450mlを合わせ、マトンコフタ、チキンコフタ、好みの洋野菜を加えて煮込む。サラダ油で炒めたクミンシード、ガラムマサラなど、好みのスパイスを加えると、より本格的。
●使用食材
○「チキンがらスープN」 化学調味料不使用で汎用力抜群
鶏骨、鶏肉を主体に炊き上げた、チキンがらスープ(骨肉湯)の化学調味料不使用タイプ。クセがなく、希釈してスープベースとして幅広く使えるほか、ストレートで料理のコクづけにも使える。スープベースとして使用する場合は20~30倍、追いたしとして使用する場合は40~60倍が目安。
規格=パウチ1kg
○「スープカレーラーメンスープ」 バランス抜群のカレースープ
鶏がら、豚がらスープをベースに、まろやかなトマトの酸味 香ばしいバジルの風味を加えたスープカレータイプのラーメンスープ。二十数種の香辛料がバランスよく香る逸品。ラーメン用の場合、約8倍が目安。
規格=パウチ1kg(約18人前)