中華料理特集 ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(45)ブッダカン

2010.11.01 380号 10面
「エダマメ・ダンプリング」

「エダマメ・ダンプリング」

グレートルーム。中央に見えるのが、30人まで席に着けるコミューナル・テーブル

グレートルーム。中央に見えるのが、30人まで席に着けるコミューナル・テーブル

 ◆先端を行くニューヨークのコンテンポラリー中国料理

 有名誌で「アメリカのトップ50レストラン」の一つに選ばれた「ブッダカン」。2006年のオープン以来、コンテンポラリー中国料理の先端を行くレストランとして注目されている。ドラマチックなインテリアの中で、モダンな中国料理をシャンデリアの下、コミューナル・テーブルで食する。映画「セックス・アンド・ザ・シティ」では、結婚式の前日に親しい人々だけで行う夕食会の開かれる場としても登場、以来、知名度はますます上がった。(外海君子)

 ほとんどのアメリカ人は、中国料理と聞くと、安くて量が多いB級グルメを連想する。チャイナタウンに行かなくとも、中国料理の店は、どこにでもある。仕事帰りにこうした店に寄って、テークアウトをすることも多い。店は、中国人客の比率が多ければ、オーセンティックな中国の味に近く、非中国人客の比率が高ければ、その店の味はアメリカ化されていると考えていい。

 そうした従来のアメリカ人の中国料理イメージを覆した、芸術的でモダンな料理を作り上げたのが、同店のシェフ、ブライアン・レイとヤン・ホワンだ。

 一番人気は、エダマメ・ダンプリング。枝豆のギョウザをスープに浸したもので、1日に70皿から100皿近いオーダーが入るという。ツナのタルタル春巻きや、米粉のチャオフン麺にのせたあばら肉、アラスカ産ギンダラのグレーズがけなども、人気料理だ。

 ホタテ貝のシュウマイなどの点心は、11$から13$。北京ダックサラダやネギもちなどのアペタイザーも、11$から13$。メーンは、中華風クレープとチャーシューローストポークなどの肉料理、広東風蒸し舌ビラメなどの魚料理、ローストダックヌードルなどの鳥料理などが20品ほどあり、20$から30$前後。1人あたりの予算は、だいたい50$ぐらいだ。ドレスコードはスマートカジュアルで、肩の凝らない、おしゃれな感覚。

 元はといえばナビスコの工場であったものを5つのセクションにわけ、それぞれに独特の雰囲気を持たせている。素材を生かし、シンプルで気品あるデザインをすることで有名なクリスチャン・リアグレがデザインを担当した。スタイリッシュなニューヨーク・スタイルのデザインで、そこはかとなく中国のイメージを漂わせている。映画にも使われたのは、ルイ14世の王宮を思わせる、華麗なシャンデリアの下にある長いダイニングルームで、30人まで席につける長いテーブル席が一番人気だ。映画効果もあり、今ではニューヨーク以外のお客も多く引き寄せている。

 ●事業データ

 ブッダカン(Buddhakan仏陀館)/所在地=75 Ninth Avenue,New York,NY/開店日=2006年3月/営業時間=日~月午後5時半~11時、火~水午後5時半~翌午前0時、木~土午後5時半~翌午前1時/客単価=50$以上

 ●人気メニュー・ベスト5

 (1)「エダマメ・ダンプリング」(12$)

 (2)「ツナ・タルタル・スプリングロール」(12$、ツナのタルタル春巻き、シャルロット、ポン酢)

 (3)「北京ダック」(44$)

 (4)「グレーズド・アラスカン・ブラックコッド」(26$、ギンダラのグレーズがけ)

 (5)「シズリング・ショートリブ」(26$、あばら肉、マッシュルーム、チャウフン麺、ナシ)

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