外食史に残したいロングセラー探訪(46)一口茶屋「フレッシュお好み」

2010.12.06 381号 10面
「フレッシュお好みエッグ」(260円) シンプルに目玉焼きを挟み込んだスタンダードな一品。マヨネーズを加えたやや酸味のあるオリジナルソースが特徴であり、年齢を問わずに幅広い層で固定客を獲得

「フレッシュお好みエッグ」(260円) シンプルに目玉焼きを挟み込んだスタンダードな一品。マヨネーズを加えたやや酸味のあるオリジナルソースが特徴であり、年齢を問わずに幅広い層で固定客を獲得

ファミリー客を中心とした客層が訪れる大型スーパーのフードコートなどの出店が多い

ファミリー客を中心とした客層が訪れる大型スーパーのフードコートなどの出店が多い

 片手で気軽に食べられるハンディータイプの「フレッシュお好み」は、販売開始から30年以上のロングセラー商品。1日に1000枚以上販売する店舗もあったというほどの人気だ。たこ焼きやたい焼きと比べ、お好み焼きのテークアウト専門店は競合他社がほとんどいないとのことだが、さらに幅広い客層からの支持を得るため、常に商品のブラッシュアップが行われている。

 一口茶屋を経営する(株)ピーターパンコモコは、たい焼きやたこ焼きが主力であった(株)コモコフードと、お好み焼きを主力とする(株)ピーターパンとの合併で、1999年に誕生した。

 フレッシュお好みの発売は1978年のこと。当時、ハンバーガーショップであったピーターパンが「和のハンバーガー」をコンセプトに開発したのが始まりという。

 その背景には、70年代はじめからハンバーガーチェーン各社が登場し、後発チェーンを中心に、和テイストのハンバーガー商品の開発が進められたという潮流の影響もあったと思われる。

 従って、和のハンバーガーという発想から生まれたフレッシュお好みの最大の特徴は、生地にキャベツと具を挟み込むという形状と、皿や箸を使わず片手で食べられる点にある。

 生地は小麦粉をベースとしたオリジナルのお好み焼き粉、基本の具にはキャベツと揚げ玉を使用。さらに、目玉焼きやツナなどの具を挟み込み商品のバリエーションも豊富である。ハンバーガーショップでスタートしたメニューだけに、既存のお好み焼きの具としてはほとんど見かけることのない、ボロネーゼソースやベシャメルソースを使った商品が登場したこともあるそうだ。

 これまでに20種類以上の商品を開発し、現在は定番3品に季節限定品1品を加えた計4品を販売している。季節限定商品では、特にイカメンタイや豚キムチの人気が高く、再登場を要望する声も多いらしい。

 ちなみに、フレッシュお好みという商品名は、毎日店舗で手切りする新鮮なキャベツに由来する。

 また、ハンバーガーショップ発祥の片手で食べられるハンディーお好み焼きとして、食べやすさも追求している。現在は袋状の包材を使い、少しずつ袋を破りながら食べるタイプを採用。熱々の商品を袋に入れるため、水蒸気によって形崩れしやすくなるので、安定した形を保てるように焼き上がりの状態にも気を配っている。

 現在は、作り置きした商品を、販売時に芯温が50度以上であるという目標を達成している。さらにテークアウト中心の販売形態のため、16年前ごろからアルミホイルの保温効果を利用したメタルパック包材の開発にも力を入れている。いずれは、商品を購入して30分後に自宅に持ち帰って食べても、芯温50度を保てるようにしていきたいという。

 ●店舗データ

 「一口茶屋」/経営=(株)ピーターパンコモコ/本社所在地=東京都北区赤羽南1-20-1/開業=1967年/事業内容=「一口茶屋」156店舗、「ピーターパン」13店舗、その他(2010年10月現在)

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