メニュートレンド:巻き寿司のファストフード ハンドロール・カフェ「hug(ハグ)」
日本生まれの寿司は、今や世界で通用する料理に。なかでも、巻き寿司は、オーストラリアでは、「ハンドロール」として定着し、現地には500店舗以上の専門店があるという。そのハンドロールを、逆輸入のスタイルで提案し、注目を集めているのが、ハンドロール・カフェ「hug(ハグ)」。狙いは、日本をはじめ世界へ向けての発信である。
昨年9月、大阪・心斎橋にオープンした同店が提案するのは、巻き寿司のファストフード。オーストラリアで定着しているハンドロールを、より日本人の口に合う味に改良し、食べ歩きも可能な商品へと認知度をアップさせるのが目的である。
運営は、飲食店のコンサルタント事業などを展開するリコプラン(株)。「オーストラリアでは人気のハンドロールですが、ほとんどの経営者が日本人ではなく、味も納得できるものが少ないのが実状。そこで、本当の味を紹介する必要性を感じたのが、オープンのきっかけです」と、同社広報担当の中川淳さん。
事業展開では、ロボット製造・販売メーカーの(株)トップ(本社・尼崎)が協力。同社では、すでに、オーストラリアで約300台のハンドロール用ロボットを販売しており、同店でもそのロボットを導入。具材をのせるだけで、均一な量と味の寿司飯で効率よく巻けるスタイルだ。
同店のハンドロールは、11種類で280円~。長さ9cmで、具材には、より寿司飯とマッチし、違和感なく楽しめる食材を提案している。さらに、商品により、海苔の代わりに色付きの大豆シートで巻くなど、カラーバランスが楽しめるのも特徴である。
一番人気は、チーズとグリーンリーフを巻いた「サーモンロール」(450円)で、唐揚げやエビフライなども好評。また、より手軽な価格で提供する「190円シリーズ」として、おかかや漬け物などの和素材を取り入れた商品も登場する予定だ。
「この店は、ハンドロールを世界に広げるためのアンテナショップ。まねではなく身に付けることで、日本の食文化を伝える場として機能させたい。そのうえで、その国の風土にマッチした具材を考案してもらいたい」と、中川さん。同社では、世界各地からの研修生を受け入れて、ハンドロールを指導。開業希望者には、独立店舗として、機械とノウハウの提供でサポートしているとか。
日本国内では、すでにオープンしている店舗もあり、今年が100店舗、3年で500店舗が目標。さらに、海外では、中国や台湾、オランダなどでの出店も予定されており、日本より反応がよいという。「海外では、3年で1000店舗の可能性もある」と、同社では期待を寄せている。
●店舗情報
ハンドロール・カフェ「hug(ハグ)」 所在地=大阪府大阪市中央区東心斎橋1-16-9、電話06・6282・5158/開業=2010年9月/営業時間=正午~午後11時(日祝~6時)、無休/坪数・席数=約30坪・21席/1日来店客数=約100人/平均客単価=650円/平均月商=約200万円
●愛用資材・食材
「ヘルシー米酢」 タマノイ酢(株)大阪府堺市堺区車之町西1-1-32
海外の研修生にも本物の味を紹介するために、食材にもこだわる同店。コメや海苔、調味料なども国産品を使用している。なかでも、寿司飯の味のポイントになる合わせ酢のベースには、タマノイ酢の「ヘルシー米酢」を利用。国産米のみを使用し、さわやかさとコクのバランスが取れた、ソムリエ・田崎真也氏監修の商品である。