メニュートレンド:タイ風グリーンカレーつけ麺 「稲庭干温飩 銀座 佐藤養助」

2011.05.02 386号 03面
氷水でしっかりとしめた冷麺と温かいグリーンカレースープの組み合わせ。具には比内地鶏のもも肉、キノコ、ビーマン、赤パプリカが入り、ボリュームも十分

氷水でしっかりとしめた冷麺と温かいグリーンカレースープの組み合わせ。具には比内地鶏のもも肉、キノコ、ビーマン、赤パプリカが入り、ボリュームも十分

黒を基調とした落ち着いた店内。奥には個室が4室ある。また店頭では乾麺やつゆなどの物販コーナーもある。稲庭うどんの他、きりたんぽ鍋や比内地鶏水炊きなどの郷土料理も楽しめる

黒を基調とした落ち着いた店内。奥には個室が4室ある。また店頭では乾麺やつゆなどの物販コーナーもある。稲庭うどんの他、きりたんぽ鍋や比内地鶏水炊きなどの郷土料理も楽しめる

 150年の歴史を有する秋田・稲庭うどんの老舗「佐藤養助商店」は、一子相伝だった稲庭うどんの伝統を今に受け継ぐ高級店。その首都圏初進出店「稲庭干饂飩 銀座 佐藤養助」では、ランチタイムを中心に提供する「タイ風グリーンカレーつけ麺」が近隣ビジネスマンだけではなく遠方のお客も引き寄せて人気を集めている。進取の気性に富み、伝統だけにとどまらない同店の味と心、技についてうかがった。

 ◆グリーンカレーとも合う老舗麺の実力 しょっつるがナンプラー代わりの隠し味

 同メニューは2006年の銀座店オープン当時からメニュー化。老舗の稲庭うどんとグリーンカレーという組み合わせに驚くが、5年たった今もその人気は衰えることなく、女性客を中心に日販20食を超えるという。「週末ともなれば遠方からわざわざ食べにくるお客さまもいらっしゃるほど」と(有)佐藤養助商店東京出張所所長の石郷岡寿一さんは語る。

 グリーンカレーペーストにレモングラス、ライムリーフ、こぶミカンの葉など、タイのハーブを加えて仕込む本格派。そして味の決め手は秋田生まれの調味料しょっつるだ。「しょっつるはタイのナンプラーと同じ魚醤。文化も風味も異なる料理の隠れた共通点が、意外なおいしさにつながった」と石郷岡さんは秘訣を語る。肉はもちろん比内地鶏を使用。秋田の名物食材とグリーンカレーが何の矛盾もなく融合していった。

 グリーンカレーをつけ汁にするという斬新さにも驚くが、そのインパクトに決して負けてない、むしろ勝ってると思うほどの稲庭うどんも印象的。あまり知られていないが、そもそも稲庭うどんは江戸時代から秋田藩主や天皇家へ納めていた高級食材。「当店の稲庭うどんは代々伝わる手作り製法を現在も続けています」と石郷岡さん。小麦粉をこねて一昼夜寝かせ、2日間かけて熟成させながらじっくり延ばして出来上がる。ゆで方にも熟練が必要で「麺質を確かめてゆで時間を数秒単位で調整しています。ゆであがった麺は軽く蒸らしてから氷水でしめることで宝石のようなツヤとコシ、伸びが生まれるんです」と石郷岡さんは言う。

 グリーンカレーとの出合いが新たな客層と新たな稲庭うどんの楽しみ方を開拓。同店は今や香港やマカオにも出店し、伝統の味を世界に伝えようと挑戦を続けている。

 ◆店舗情報

 「稲庭干温飩 銀座 佐藤養助」 経営=(有)佐藤養助商店/所在地=東京都中央区銀座6-4-17 出井本館1階、電話03・6215・6211/開業=2006年12月/営業時間=午前11時半~午後3時 5時~翌2時(土・日・祝~午後10時)、年末年始休/坪数・席数=約40坪・74席(うち個室20席)/客単価=約5000円/客数=約200人

 ◆愛用資材・食材:「塩魚汁」

 (有)仙葉善治商店 秋田県秋田市

 タイのグリーンカレーに欠かせない調味料といえばナンプラーだが、同店では秋田特産の魚醤であるしょっつるを使用。稲庭うどんや比内地鶏との相性を高める欠かせない隠し味となっている。しょっつるは魚を2~3年塩漬けし、溶けたものをろ過したもの。しょっつるの本場秋田新屋で造られる同商品は、他社のしょっつるより生臭さがなく味に奥ゆきがあると好評。ラーメンスープやドレッシング、炒め物などのコク出し、隠し味に幅広く活躍する。

 規格=550ml、360ml

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