近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:グリル塩豚「塩ラーメン」

2011.11.07 392号 12面
「シンプルに飽きない味が塩ラーメンの基本」と石橋店主

「シンプルに飽きない味が塩ラーメンの基本」と石橋店主

食べ応え満点の厚切りロース、脂のうま味が魅力のばらをカセットコンロでセルフ焼き

食べ応え満点の厚切りロース、脂のうま味が魅力のばらをカセットコンロでセルフ焼き

 塩ラーメンで有名な函館市に、“塩”で有名な大衆食堂がある。250円の「塩ラーメン」とボリューム満点の「塩豚」を看板料理とする「グリル塩豚」である。店主の石橋志介さんは、30年以上前から近隣海岸の海水から塩を精製し、市販品とブレンドして自家製塩を作るなど、塩にかけては大の勉強家。その趣向が高じ、塩豚の通信販売にも乗り出すなど、塩料理のブランド化を楽しんでいる。「明快かつ奥深く、お値打ち」という信念を掲げ、地元客に愛され続けているグリル塩豚の看板料理2品を紹介する。

 ◆営業の概況:来店客の半数が塩ラーメン注文 地元では年配客から大人気

 グリル塩豚の立地は、函館空港と市街を結ぶ国道沿い。温泉街に近いが、車で来店する地元客が大半。1972年、市街で「キャプテン」という屋号で創業し、93年、現店舗に移転し、グリル塩豚に改めた。

 1日客数は平均200人強。夏季ピーク時は400人弱に達し、そのうち約半数が塩ラーメンを注文。塩豚は夕方以降、地元の常連客から注文されることが多い。塩ラーメン目当てのお客は、ラーメンブームの余韻を引きずっているためか、観光客の割合が高まっているという。

 石橋店主は「塩ラーメンは、どちらかというと高齢客から人気。ラーメン目当てに毎日来店される方も珍しくないですね」という。

 ◆特徴と調理:豚1頭を仕入れ自らさばく 食材共有化で価格とボリュームを両立

 塩ラーメンのスープは、豚骨と鶏がらを8対2で4時間以上炊き、背脂を加え、独自ブレンドした塩で調味すれば完成。麺は細ちぢれ麺130g(生)、具材は塩豚の煮豚、メンマ、車麩、長ネギ。味の決め手となる塩は、塩事業センターの「つけもの塩」。これに秘密のひと工夫を加えている。

 石橋店主は「塩はいろいろ試しましたが、結局、これに行き着きました」と明かし、「角が立たず、丸みのある塩気で、ほかの素材の持ち味を邪魔しません」と説く。

 塩豚は、豚肉(ブロック)に独自ブレンド塩をまぶし(肉分量に対し塩3%弱)、チルド冷蔵庫で熟成させたもの(ばら4日間、ロース10日間)。これを注文時に切り分け、カセットコンロとセットで提供し、セルフクッキングで焼きたてを提供する。

 豚肉は、地元の食肉卸から1頭買いし、石橋店主自ら骨を外し、すべてを切りさばく。ロースとばらは塩豚に、豚骨はラーメンスープに、残りの肉はミンチにしてハンバーグに。この食材の共有化と労力が低価格とボリュームを両立させる原動力となっている。1週間で1頭を使い切るという。

 ◆発祥と展開:近隣海岸の海水から塩を精製 移転を契機に塩豚を新機軸に

 遠洋船の乗務員だった石橋店主は1974年、函館に帰郷し、食堂キャプテンを繁華街に創業。自慢の塩ラーメンの味づくりを追求するため、近隣の海岸で海水をポリタンクに詰めて持ち帰り、独学で塩の精製を始めた。

 石橋店主は「同じ函館の海岸でも場所によって塩の味が異なるので、試行錯誤が楽しかった」と振り返り、「ポリタンク1本から取れる塩は、わずかな量。それだけでは全然足りず、店も忙しくなったのでやめましたが、塩精製の独学は現在の味を支える原点ですね」と語る。

 93年、現在の立地に移転し「キャプテン昇輝」を開業。翌年、構想を温めてきた“塩豚”を新機軸に打ち出し、屋号をグリル塩豚に変更した。

 現在は、安価で毎日食べても飽きない塩ラーメン、豚肉の持ち味が楽しめるボリューム自慢の塩豚、この2品を看板に地元客のみならず多くの観光客を集めている。

 ●店舗情報

 「グリル塩豚」 所在地=北海道函館市湯川的1-9-155/敷地・席数=42坪・45席/営業時間=午前11時~午後8時半、月定休

 ◆エバラで再現!模擬レシピ

 「e-Basic 塩ラーメンスープ」「肉塊湯」でやってみよう!

 ●作り方

 「e-Basic 塩ラーメンスープ」(30ml)を「肉塊湯」(30倍希釈・300ml)で割って塩ラーメンスープとする。

 ●使用商品

 ○「e-Basic 塩ラーメンスープ」

 規格=500ml、1.8リットル

 ホタテのうま味と香味野菜(にんにく、生姜)を効かせた、ベーシックな海鮮系塩ラーメンスープ。お湯割りOKだが、がらスープや香味油を加えればオリジナリティーも自在。

 ○「肉塊湯(ルーカイタン)」

 風味とコクが自慢の濃縮がらスープ

 豚骨、鶏骨、鶏肉を主原料としたスープに豚肉の塊を加え、より肉の風味を引き出した濃縮がらスープ。スープベースとして、また料理のコク付けとして活用できる。スープベースの場合は20~30倍、追い足しの場合は40~60倍が目安。

 規格=840g、3kg

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