外食史に残したいロングセラー探訪(63)サブウェイ「えびアボカドのサンドイッチ」
ファストフードの店舗数世界一誇るサンドイッチ専門店サブウェイ。日本に上陸したのが1992年。日本サブウェイ(株)は今年で20周年を迎える。この不景気のなか、昨年は過去最高売上げと92店舗出店の成長を見せている。人気ナンバーワンの「えびアボカドのサンドイッチ」を紹介する。
◆日本人を意識したおいしさと食べ応えの追求 アボカドペーストとワサビ醤油のマッチング
外資系のファストフード店の競争が激しい日本。生き残るためには、日本人の味覚にあった商品の開発が不可欠だ。同社においても同じだった。日本人の味覚を意識した商品を作ろうと方向転換をしたのが2004年。「従来のヘルシー路線に、日本人が認めるおいしさと食べ応えを意識し、商品開発を行っています」と同社マーケティング部の今井久部長。現在、15種類中9種類が日本のオリジナル商品。なかでもトップを走るのが2006年に誕生した同商品だ。
誕生の経緯は同社の伊藤彰代表がアボカドに着目。アボカドは変色しやすく、鮮度の見極めなど商品管理が問題だった。そんななかメキシコ視察時に、加熱処理しないで高い気圧で殺菌するUHPシステムに出合う。それによって変色を抑えフレッシュな状態を保つことを可能とした。アボカドをペースト状にしたガッカモーレの誕生だ。エビはタイで稚エビから管理し、養殖施設近隣の工場で処理されている。通常はボイルするが、ゆでることでうま味成分が溶けてしまうため、スチームによって熱を通し、うま味を閉じ込める。
野菜も土づくりからこだわった取り組みを拡大中。パンは発酵から焼成まで各店舗で行っている。いずれも新鮮さを売りにする同社ならではのこだわりだ。
開発当初は売れないとの意見も多かったという同商品。今井部長は「一番よかったのは、ニンニク風味のアボカドペーストと絶妙の相性を見せたワサビ醤油の開発だったと思います」と説明。現在でも改良が加えられさらに進化し続けている。また、野菜が多いと味が薄くなると思われがちだが、メーンの具材ははっきりとした味付けがされている。そのバランス感が同社のサンドイッチの肝でもある。
おいしさとヘルシー、そして食べ応えの追求は、健康志向の強い今の日本にはマッチしている。今後、同社のサンドイッチはますます支持を得ていきそうだ。
●企業データ
日本サブウェイ(株)/本社所在地=東京都港区赤坂3-8-8 赤坂フローラルプラザビル4階/事業内容=「サブウェイ」国内直営・フランチャイズ合わせて329店舗(2012年2月末現在)