メニュートレンド:熱した鉄玉投入で話題沸騰の「吉衛門つけそば」

2012.07.02 400号 31面
和節つけそば(ゆず風味)吉衛門つけそば。スープは、鰹節をメーンに4種類の魚介をブレンド。和節のうま味と香りが際立つ

和節つけそば(ゆず風味)吉衛門つけそば。スープは、鰹節をメーンに4種類の魚介をブレンド。和節のうま味と香りが際立つ

熱した鉄玉を投入するとスープがグツグツと沸き、熱々のスープが復活する

熱した鉄玉を投入するとスープがグツグツと沸き、熱々のスープが復活する

 地方都市の幹線道路沿いといえば外食レストランがズラリと軒を連ねる激戦地。「つけ麺 吉衛門」がある国道354沿いも例外ではなく、麺類系だけでもラーメン、うどん、つけ麺とひしめき合う。厳しい競争を勝ち抜いて繁盛するためには、他店との差別化が必須だ。同店はユニークなサービスでリピーター客を獲得し、売上げを伸ばしている。

 ●熱々スープがたちまち復活

 つけ麺のスープは、ラーメンやうどんなど他の麺類のスープに比べて冷めやすいという弱点がある。冷めるとスープの風味が損なわれるだけではなく、麺との絡みも悪くなる。

 「最後の1滴まで熱々のスープを提供したい」と“熱さ”にこだわって考案されたのが、スープがぬるくなったころを見計らって、熱した鉄玉を投入するというサービスだ。鉄玉のアイデアを実現する際、最大の課題になったのがその形。蓄熱性をよくするには、完全な球形がベストだが、投入したときにスープ表面から出る面積が広く、ハネが激しくなる。試行錯誤の末にたどり着いたのが卵型。スープ表面から露出せず、レンゲの中にもすっぽり収まる。1個の重さは245g、Sサイズの卵の大きさだ。鉄玉は焼き鳥用のガスコンロに1回に25~30個並べて熱する。250~300度Cまで熱し、温度チェックは赤外線温度計で簡単にできる。

 当初は鉄玉サービスの張り紙を壁に貼り、お客からオーダーがあってから提供していたが、イマイチ浸透しない。そこで、麺を半分食べ終わったお客全員に、スタッフがテーブルで鉄玉を投入するという方法に切り替えた。この中間サービスが功を奏し、瞬く間に鉄玉が話題に。現在、看板メニューの「吉衛門つけそば」の注文数は、1日平均130食。店全体の売上げも、以前より2割近く伸びた。

 「鉄玉を初めて体験するお客さんの反応は、ワ~ッ! という驚きの声。まず100%、歓声が聞けますね」とアトラクション性がウケている。スープの熱さが復活することで自慢の和節が再び香り立ち、スープの味も色も出来たてに。スープを完食するお客も増えた。また鉄玉の話題が広まったことで、それまで集客がやや弱かった夜8時以降、酒を飲んだあとの締めに立ち寄る客が増加。本来は鉄玉をサービスしていないラーメンメニューでも、お客から「鉄玉ある?」という声がかかるというほど鉄玉人気が浸透している。鉄玉は特注で1個=約470円。初期投資が少ない割には、その波及効果は大きい。

 ●店舗情報

 「つけ麺 吉衛門」 所在地=茨城県つくば市下原380-5/開業=2010年12月/営業時間=午前11時~翌午前0時、年中無休/坪数・席数=約30坪・43席/客単価=930円/1日の平均来客数=週末約300人、平日約250人

 ●愛用資材・食材

 「冷凍 刻み生ゆず」 カネク(東京都青梅市日向和田3-866)

 生ユズの食感と香りが決め手

 「つけ麺 吉衛門」のつけそばのスープに欠かせないのがこの商品。細切りになった生ユズの皮が冷凍パックされている。液体やオイル状のものと異なり、単なるエッセンスではなく皮そのものが入っているので、ユズをアピールするのに効果的だ。食感と香りも際立つ。刻んであるので、調理の手間なしという利点も見逃せない。

 規格=100g

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