近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:崎陽軒本店「牛肉の黒胡椒炒め」

2013.10.07 415号 16面
あめ色に炒めた玉ネギで自然の甘さとコクを出すのがプロの技

あめ色に炒めた玉ネギで自然の甘さとコクを出すのがプロの技

厨房応援団 黒胡椒だれ

厨房応援団 黒胡椒だれ

 さまざまな体系がある中国料理の中でも、広東料理は子どもからお年寄りまで幅広く親しまれている。その広東料理の人気メニューのひとつに牛肉の炒め物がある。これまではオイスターソースで味付けしたものが一般的だったが、ここにきて、にわかに「黒胡椒だれ」が注目を集めている。広東料理店の老舗、崎陽軒本店でも、牛肉の炒め物の味付けを「オイスターソース」と「黒胡椒だれ」からチョイスできるようになっているが、最近は「黒胡椒だれ」のオーダーが増えているという。同店の阿部義昭総料理長に取材した。

 ●発祥と展開:広東とシンガポールのフュージョン

 「牛肉の黒胡椒炒め」の発祥地はシンガポールといわれている。広東系の華僑が中国料理と東南アジアのエスニック料理を組み合わせたことが、そもそもの始まりで、香港を経て日本に伝わったという。

 阿部総料理長が、牛肉の黒胡椒炒めを初めて食べたのは、今から約20年前。「それ以前から仲間うちでは知られていましたが、まかないで作ったのが最初です。ステーキで証明されているように、牛肉と黒胡椒は抜群です」と太鼓判を押す。

 その後、黒胡椒の風味の出し方などの研究が重ねられ、崎陽軒本店のコースメニューの1品として登場するようになった。

 ●特徴と調理:黒胡椒を蒸してからペースト状にするのが決め手

 “黒胡椒炒め”は、“黒胡椒”と銘打っているだけに、黒胡椒独特の風味を出すことが、料理の肝となる。阿部総料理長は「炒め物はすべてスピードが要求されますが、この料理は香りを逃さないためにも、より一層手早く調理しなくてはなりません」と言う。

 そこで、オリジナルの黒胡椒ペーストを用意しておく。黒胡椒、サラダ油、スープをまぜたものを蒸してからすり、ペースト状にしたものだ。蒸すことで黒胡椒の辛味にまろやかさを出すのがプロの技。この黒胡椒ペーストがあれば、牛肉はもちろん豚肉、鶏肉、野菜などの炒め物の味付けに使いまわしが利く。

 阿部総料理長が作る「牛肉の黒胡椒炒め」の調理法は、中華鍋でニンニク、ショウガ、炒め玉ネギ、そしてオリジナル黒胡椒ペーストを炒めて香りを立たせ、赤・青の甘長唐辛子を加えてさらに炒める。玉ネギは細切りにして、あめ色になるまで炒めたものを使用することで自然の甘味を加え、黒胡椒の辛さとのメリハリを出すのがこだわり。

 そこに下味を付けて油通しした牛肉とキノコ類を加え、シーズニング、トマトピューレ、中国醤油、塩、スープなどの合わせ調味料で味付けして、強火で一気に煎り炒める。蜂蜜を少量たらし、コクと甘味を加えるのも阿部総料理長の工夫。

 「黒胡椒炒めはスパイシーでパンチがあり、大人の炒め物といった感じ。食欲をそそる辛さで白飯がすすむのはもちろん、ビールの肴にもお薦めですね」と黒胡椒だれの人気はますます上がりそうだ。

 ●調理実演・崎陽軒本店 総料理長 阿部義昭氏

 あべ・よしあき 1954年生まれ。「中国飯店」、日本料理「吉祥」の中国料理部門「天苑」を経て、35歳で「露店」料理長。2004年9月に現職就任。

 ●店舗情報

 「崎陽軒本店」 所在地=神奈川県横浜市西区高島2-13-12

 ◆エバラで再現!模擬レシピ:「厨房応援団 黒胡椒だれ」でやってみよう!

 ○材料(1人前)

 牛もも肉(75g)、グリーンアスパラ(25g)、赤ピーマン(25g)、エリンギ(25g)、黒胡椒だれ(25g)、サラダ油(大さじ1)、片栗粉(適量)

 ○作り方

 (1)牛肉の表面に軽く切り込みを入れ、片栗粉をまぶす

 (2)フライパンにサラダ油を熱し、牛肉と野菜を炒める

 (3)火が通ったら「黒胡椒だれ」を加えて強火で炒め合わせる。

 ○使用食材:「厨房応援団 黒胡椒だれ」

 醤油ベースに、ニンニクや生姜などの香味野菜を合わせ、トウチ、豆板醤を加えて味わい深く仕上げた黒胡椒だれ。炒め物のほか麻婆豆腐や炸醤麺の調味に最適。

 規格=1L

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