アポなし!新業態チェック(92)「マグノリアベーカリー」表参道

2014.11.03 428号 13面

 ●ニューヨークからスイーツの世界的ブランド

 米・ニューヨークの小さなベーカリーからスタートし、国外を含めて15店舗以上を出店しているスイーツ店のマグノリアベーカリーが、今年6月に日本初出店を果たした。1996年創業。商品としてカラフルな色使いのカップケーキを発売し、その愛らしいルックスで人気のテレビ番組などに登場したことにより、一躍ニューヨークを代表するスイーツブランドとして存在を知られるようになった。

 日本1号店が入居するのは、東京・原宿の表参道に面したファッション複合ビル。高級ブティックなどが数多くテナントとして出店するスタイリッシュな商業施設だ。隣は、平日でも長い行列のできるハワイアンレストラン。同店も開業時には数時間待ちという状態が続いた。

 店内には、ブレークするきっかけとなった「バタークリーム・フロステッド・カップケーキ」(430円~)の他、チーズケーキ、パイ、ブラウニー、プディングといった米国で伝統的なデザート類が並ぶ。店舗は売店形式だが、その場ですぐに食べたいという利用者のために、ハイテーブルが3卓、12席のイートイン席も設けられている。カップケーキだけでも30アイテムのメニューがあり、店頭には日替わりで10種類以上が用意されているという。

 店舗のデザインもパステルカラーを基調に、米国の伝統的な意匠とモダンな素材が組み合わされたかわいらしいスタイル。今後はリゾート地への出店が準備されているとのことで、日本だけのオリジナルメニューや記念日のオーダーメードケーキといった計画もあり、ギフト需要も見込める展開となっている。

 ★けんじの評価

 食のビジネスで一旗揚げようと思うのなら、このマグノリアのように世界規模でのブランド展開を可能にするスイーツの世界を選ぶのが正しい選択なのだろう。同店は、全米で大人気を博した「セックス・アンド・ザ・シティ」「ゴシップガール」というテレビドラマや、日本でも大ヒットした映画「プラダを着た悪魔」などに登場し世界中にその名を知られるようになった。同店のカップケーキが評判になり、その後ニューヨークではカップケーキのブームが巻き起こったほどだ。本家ニューヨークでは2007年に創業者が現オーナーに経営を譲り、フランチャイズによる国外展開が本格的にスタートしたらしい。近年はモスクワ、メキシコシティー、そして東京と世界中に店舗を広げている。

 同店を日本で運営するのはスイートスターという企業だが、同社は札幌に本社を持つ外食企業の子会社である。さらに、その親会社は沖縄でホテル経営を行う企業であり、グループの持ち株会社はアジア全域にホテルを持つ外資系企業であるようだ。

 なるほど、ブランドもワールドワイドなら経営もワールドワイドということか。いずれにしても、食の世界のビジネス環境もかつてとは大きく様変わりしている。企業の組織形態として持ち株会社制が導入されることで、大規模なチェーンであっても比較的容易にM&Aの対象になり、いつの間にか資本関係が変わってしまうという例も少なくない。それが顧客や現場のスタッフにとってより良い選択になるのであれば、経営環境の自由度が増すことはとても喜ばしいことではないかと思う。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ●店舗情報

 開業=2014年6月16日/所在地=東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE B1F

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期からFFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。

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