クールジャパン機構、中小外食の進出支援 シンガポールを成功モデルに
食品、ファッション、アニメなどの産業の海外展開を支援する官民ファンド海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は、単独での海外進出が難しかった中小外食企業の足掛かりとなる基盤づくりで、外食産業の海外市場拡大を支援する方針だ。アジア有数の繁華街であるシンガポールのオーチャード地区のシンガポール伊勢丹オーチャード店の4階で、今年10月のオープンを目指しているフードコート(飲食店の商業集積)「ジャパン・フード・タウン(仮称)」での取り組みを成功させ、それをモデルとしてアジアの他地域への水平展開を目指す。
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モデルとなる「ジャパン・フード・タウン」での取り組みは、一般社団法人日本外食ベンチャー海外展開推進協会(JAOF、吉川誠人代表理事、東京都港区六本木)のJAOF加盟の外食ベンチャー企業15~20店で海外商業施設へ進出する活動の支援が軸となる。
JAOFでは、シンガポール伊勢丹オーチャード店での「ジャパン・フード・タウン」の10月オープンへ向けて3月末ごろまでに出店テナントを決める。このため、そば、うどん、焼き鳥、丼などの日本食、ラーメンなどの日本の国民食、豚カツ、オムカツ、カツレツなど日本風にアレンジされた洋食も含めた大衆日本食の分野で現在、事業実績のある中小外食企業を公募している。
これに合わせて、クールジャパン機構では、ジャパン・フード・タウン事業について、JAOFやサポーター企業とともに総投資約10億円でシンガポールに設立するジョイントベンチャー企業へ、そのうちの最大約7億円を出資することを14年12月8日までに決定した。ジョイントベンチャー企業は、家主となる商業施設と賃貸借契約を結びジャパン・フード・タウン事業を運営、転貸借契約を通じて出店テナントとの窓口になる。
クールジャパン機構は、海外展開に乗り出す民間企業や民間企業のコンソーシアムなどへ、合弁で設立する事業会社への出資を通じたリスクマネーを供給するほか、事業会社の事業・経営を支援する機能も今後約20年間担う。
このため、政府から300億円、みずほ銀行や大和証券グループ本社などの金融機関、三越伊勢丹ホールディングスなどの百貨店、電通などの広告代理店など14年12月までに有力企業22社から合計106億円の出資を受けている。