アポなし!新業態チェック(146)「餃子の王将Express」アトレ秋葉原店

2019.10.07 488号 11面

 ●JR駅に隣接し朝6時から営業

 「餃子の王将」を全国に展開する王将フードサービスが、同社としては初となる全席スタンディング形式の新業態「餃子の王将Express」を東京・秋葉原にオープンした。

 同店は、JR秋葉原駅に直結する商業施設「アトレ秋葉原1」のリニューアルに伴って出店した小型店。店舗は同施設1階の北側入り口脇に位置しており、施設内からでも外部からでも入店できる。中央のオープンキッチンを三方から立食カウンターが取り囲むスタイルで、客数のキャパシティーは20名弱。駅という立地を生かして、早朝6時から翌日の深夜1時まで営業する。立ち食いそば店などと同様に、いつでも気軽に素早く利用してもらうことを想定した業態として開発された。

 メニューは既存の業態から大幅に絞り込み、同店のみの新メニューも導入している。中心となる麺類は、既存の「餃子の王将ラーメン」(500円)などのほか、水ギョウザ風のギョウザが入った「餃子ラーメン」(580円)、同店独自のかき揚げがのった「かき揚げラーメン」(680円)が加わる。同店だけの小ぶりな「餃子の王将 ひとくち餃子」(180円)が新しく採用され、ほかに「鶏の唐揚」(300円)や「中華炊き込みご飯」(250円)といったサイドメニューも用意した。一部メニューはテイクアウトにも対応する。ドリンク類はビールやハイボール、サワー、ジュースなど。

 既存業態と競合せず、立地や物件を振り分けることで出店が可能な小型店として、同社が期待を寄せる新ブランドだ。(価格はすべて税抜き)

 ★けんじの評価 次世代型のラーメン新業態として確立するか

 近年、業績が比較的好調な王将フードサービスだが、既存業態だけではなく新業態の開発にも積極的だ。2016年、京都に1号店を出店したバル風ブランドの「GYOZA OHSHO」は、今年3月に東京・有楽町にオープンした店舗で6店目となった。これは女性をターゲットにした業態で、1号店の成功を皮切りに次第にグレードを上げながら着実に店舗数を増やしている。今回も、この店舗だけの新メニューが導入されるなど、苦しまぎれに開発された雰囲気だけの新業態という印象はない。

 ここ数年、多くのチェーンが新業態開発の目的として店舗運営の効率化を掲げているが、発表されたリリースなどを見る限り、同社としてはそうしたテーマは重視していないようだ。実際、同店の会計はレジによる後払いとなっていて、会計システムとの整合性があるのかもしれないが、効率重視のテスト店ではないようだ。

 久しぶりに「餃子の王将」でラーメンを食べたのだが、筆者の好みである極細麺ということを抜きにしても、かなりクオリティーの高いラーメンだと感じる。ひと昔前なら、こだわりのラーメン専門店が出していたレベルだろう。臨店した8月後半には、当初はなかったはずの「ラーメン+餃子」というセットメニューが追加されていたのだが、これは客単価を上げるための施策だろうか。

 この新業態で唯一気になるのは、早朝から深夜までという長時間の営業がスタッフの確保など運営面での負担にならないかということだ。逆に言えば、この店舗で確実に運営できるのであれば、同社の実力は本物だということなのだろう。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「餃子の王将Express」アトレ秋葉原店

 開業=2019年6月27日/所在地=東京都千代田区外神田1-17-6 アトレ秋葉原1 1階

 編集協力:株式会社イートワークス(http://www.eatworks.com/)

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