クローズアップ現在:集客力が高い羊肉に脚光 遠方からの目的来店も

2022.01.03 515号 11面
伊勢丹立川店で開催された羊肉イベントの様子

伊勢丹立川店で開催された羊肉イベントの様子

「キハチイタリアン」で提供されたコース料理のメイン、「しずお農場サフォークのロースト」

「キハチイタリアン」で提供されたコース料理のメイン、「しずお農場サフォークのロースト」

伊勢丹立川店で行われた羊肉販売では来店客1人当たり1万円程度購入

伊勢丹立川店で行われた羊肉販売では来店客1人当たり1万円程度購入

味坊集団は「羊フェスタ」の2日間でラム肉串焼き5,800本を販売

味坊集団は「羊フェスタ」の2日間でラム肉串焼き5,800本を販売

11月に開催された「羊フェスタ」は2日間で8,000人が来場

11月に開催された「羊フェスタ」は2日間で8,000人が来場

 新しく顧客を創造する商品として、羊肉が脚光を浴びている。伊勢丹立川店では「高感度上質戦略」に基づいた新提案として羊肉をアピールし、そのポテンシャルの高さを実感した。「羊肉フェスタ」は例年の3分の1規模で開催したものの、参加者8000人と盛況。「目的来店」型の集客力に期待し、羊肉メインに切り替えて客単価3800円の繁盛店を実現した飲食店も登場している。

 羊肉市場がにわかに活況を呈してきた。

 伊勢丹立川店は10~12月にかけて、「新店舗開店20周年祭」の特別企画として、「日常に羊肉というレパートリーを」というテーマで4段階に分けて羊肉をアピールした。

 最初は「羊肉という食材の紹介」として、地階のイセタンミートで国産羊肉を販売。上質の食肉を肥育することで著名な「ダボス牧場」(長野県上田市)の菅平高原産掛川酵母サフォーク種ホゲット(ラムとマトンの中間)骨付きロースを100g当たり2700円、肩ロースを同1980円、それぞれ3kg限りで販売した。

 次に「自宅でおいしく調理できるアイテムの紹介」。6階のキッチンで「ビタクラフト」の「スーパー鉄フライパン」(26cm/9680円)を実演した。さらに「ラムバサダー(オージー・ラムのPR大使)による知識とシェフによる料理で実感」で、8階レストラン街「キハチイタリアン」において羊肉のコースメニュー(8800円)を提供。そして「クリスマス用羊肉セット」として、イセタンミートでラム・ホゲットの精肉詰め合わせ(600g/5400円)を予約販売した。

 これらを企画した同店の食品・レストラン1フロアマネージャー・スーパーバイザーの工藤康司氏は「上質な暮らし、未知の体験をお客さまの生活の中に根付かせるということに関して、羊肉はそのポテンシャルがある」と述べる。国産羊肉の精肉は1人当たり1万円程度で購入され、キハチイタリアンでの食事には32人が参加し、売上げは36万円となった。アンケートでは29人が「とてもよかった」と回答。本企画のパートナーであるラムバサダーの石川史子氏は各テーブルを回って参加者の声を聴き、「羊肉フリークだけでなく、今話題となっている羊肉から食文化を学びたいという声が多数あった」と語る。同店では、今回顧客から得た「羊肉を深めてほしい、家庭でも楽しみたい」という多数の声を受けて、新年1月12日より「スパイスとだしで羊肉を極める」という企画を行う。

 羊肉の魅力を発信する羊齧協会(代表/菊池一弘)では2014年から「羊肉フェスタ」を開催している。20年の開催は中止となったが、今年は施設管理者からの要請で例年の3分の1規模、10団体の参加で11月に開催した。レストラン営業や通信販売を行う味坊集団(代表/梁宝璋)も屋台出店し、ラム肉の串焼きを2日間で5800本販売した。

 東京・神田で飲食店を4店舗ドミナント出店するスマイルリンクル(代表/須藤剛)では、9月に「ラム肉酒場 ラムゴロー」(10坪/2フロア・50席)をオープン。「神田にない店で神田にお客を呼び込む店」をコンセプトに、「ラム肉はアンチの人もいるが、好む人は遠方からでも来店する」と考え、ラム肉がメインの居酒屋とした。狙い通り「40~50代のビジネスマン」が多く、客単価3800円の繁盛店となっている。

 東京・上野の仲通りを中心に展開する長岡商事(代表/前川弘美)では「下町バル ながおか屋」を09年にオープンして以来、「ラムチョップかぶりつき」をうたってブランディングを行ない、ラムチョップがフード売上げの40%を占めるまでに成長。同社が12月にリニューアルオープンした「不忍ブルワリー ひつじあいす」では、メインメニューの羊肉とオリジナルクラフトビールで強い集客力を期待している。

 (フードフォーラム代表 千葉哲幸)

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