新店の潮流:飲食店でサステナブルな取り組み活発化 食材ロス削減に注力

2023.08.07 534号 16面
写真1 【牛たん けやき 麻布十番店】超極厚切三種盛定食 3,300円(税込み)

写真1 【牛たん けやき 麻布十番店】超極厚切三種盛定食 3,300円(税込み)

【牛たん けやき 麻布十番店】特選牛たん3種のひつまぶし御膳 3,300円(税込み) 特上タン、牛タン、熟成タンをご飯の上にぎっしり。まずはそのまま味わい、次に薬味、だしをかけて食べる楽しみ方ができる

【牛たん けやき 麻布十番店】特選牛たん3種のひつまぶし御膳 3,300円(税込み) 特上タン、牛タン、熟成タンをご飯の上にぎっしり。まずはそのまま味わい、次に薬味、だしをかけて食べる楽しみ方ができる

牛たん けやき 麻布十番店

牛たん けやき 麻布十番店

【マグロスタンダード 錦糸町本店】お通し マグロぶつ刺し 400円(税込み) 産地があいまいなため、市場で買い取ってもらいづらいバチマグロを活用

【マグロスタンダード 錦糸町本店】お通し マグロぶつ刺し 400円(税込み) 産地があいまいなため、市場で買い取ってもらいづらいバチマグロを活用

【マグロスタンダード 錦糸町本店】闇盛り刺し 980円(税込み) (左下から時計回りで)希少部位のマグロのハツ、レバー、ガツを刺身で。その日のおすすめ部位を刺身にし、塩ごま油やニンニク醤油などで調味

【マグロスタンダード 錦糸町本店】闇盛り刺し 980円(税込み) (左下から時計回りで)希少部位のマグロのハツ、レバー、ガツを刺身で。その日のおすすめ部位を刺身にし、塩ごま油やニンニク醤油などで調味

【マグロスタンダード 錦糸町本店】本マグロ焼きすき 1,680円(税込み) 中トロを軽く炙ってすき焼きのように食べる一品

【マグロスタンダード 錦糸町本店】本マグロ焼きすき 1,680円(税込み) 中トロを軽く炙ってすき焼きのように食べる一品

マグロスタンダード 錦糸町本店

マグロスタンダード 錦糸町本店

【大人洋食Bistro1996,】国産豚とラムタンのパテ・ド・カンパーニュ 1,408円(税込み) 国産豚の白レバーに、子羊のタンを加えたパテ。タンは端材を使用。肉々しい食感が楽しめる

【大人洋食Bistro1996,】国産豚とラムタンのパテ・ド・カンパーニュ 1,408円(税込み) 国産豚の白レバーに、子羊のタンを加えたパテ。タンは端材を使用。肉々しい食感が楽しめる

【大人洋食Bistro1996,】ペアリングコース(料理7品、ワイン5杯) 6,600円(税込み)、料理のみのコース(料理7品) 4,980円(税込み)

【大人洋食Bistro1996,】ペアリングコース(料理7品、ワイン5杯) 6,600円(税込み)、料理のみのコース(料理7品) 4,980円(税込み)

大人洋食Bistro1996,

大人洋食Bistro1996,

 持続可能な循環社会の実現は社会全体で向き合う課題として、企業がSDGsに取り組む事例が増えている。各社における取り組みは、社会貢献という意味合いはもちろん、「企業のブランドイメージ向上」「省エネルギー対策、食品ロス対策によるコスト削減」「職場環境改善による従業員の満足度向上」などのメリットも大きい。サステナビリティの意識は中小規模の飲食店でも広がっており、各店の事例を見ると、独創的なメニュー開発にもつながる「廃棄食材の見直し」といった“食材ロス削減”から少しずつ取り組みを始める例が多い印象だ。今年オープンした新店舗で、サステナビリティを意識した3店をご紹介しよう。

 ◆牛タンの端材を調味料に活用 中国料理の手法で食材を使い切る

 「厚っ、やわっ、うまっ。」な極厚牛タンが自慢の仙台牛タン定食店が7月、オープンした。同店の超極厚切り牛タンは、店内で3cmもの厚さに手切りして提供している。迫力ある厚みながらもその軟らかさには驚かされる。名物の「ひつまぶし御膳」は、牛タンをひつまぶし風に食べる新感覚の一品だ。

 同店では、牛タンの硬い先っぽは低温調理にするなどすべて活用。また、成形した際に出る端材は細かく刻み、そのうま味と食感を生かす形で調味料に仕上げているというから珍しい。端材を混ぜ込むことで具材感のある調味料になり、牛タンに絡みやすく、これまでにない牛タンの食べ方提案にもなっている。同店を運営するBLOOMの古山智代表取締役は、かつて中国料理の料理長を歴任していたことから、食材を余すところなく活用する手法が身についており、「どんな部位でもおいしいと言っていただけることに注力している」と言う。SDGsへの考え方は、「義務感というより、“ときめき”を提供することを第一義にしている」と、古山社長は話す。

 【SDGsの取り組み】

 ・牛タンの端材まで使い切る料理を意識してメニュー開発

 ・端材は調味料に仕上げて提供

 ●店舗情報

 「牛たん けやき 麻布十番店」

 所在地=東京都港区麻布十番1-6-6魚可津ビル2階/坪数・席数=20坪・24席/営業時間=11時~15時、17時~22時/平均客単価=2,800~3,000円

 ◆「刺身」「焼き」「煮込み」のマグロ尽くし 廃棄されていた内臓を「ホルモン焼き」で

 2022年に1号店を開業、4店舗目となる錦糸町本店を5月にオープンした「マグロスタンダード」は、「刺身、寿司とは違うマグロの新しい食べ方を」として、“マグロ焼肉”“揚げ”“煮込み”“熟成”など、さまざまな料理で提供するマグロ専門居酒屋だ。その新しい食べ方提案も魅力だが、サステナブルな居酒屋を目指してこれまで魚のエサにするか廃棄され、市場には流通していなかったマグロの内臓などの未利用部位を積極活用することで、同店でしか味わえない独創的な料理を展開している。

 マグロをロースターで焼く「マグロ焼肉」は、エラブタ、腸管、ハツモト、レバー、ホホ肉など、希少部位を含む12種類を用意。お通しにはマグロ養殖場でさまざまな産地が混ざったため売り物にならない「お困り食材のマグロ」を使用している。

 「日本で昔から愛されてきたマグロは捨てるところのないおいしい食材」(宮崎元成オーナー)という考えが、自然な形で食品ロス削減の理念に結びついた好例といえるだろう。

 【SDGsの取り組み】

 ・マグロの端材をお通しに、内臓を「マグロ焼肉」や刺身などで提供

 ・野菜の芯をコールスローやキムチに

 ●店舗情報

 「マグロスタンダード 錦糸町本店」

 所在地=東京都墨田区江東橋2-15-6/坪数・席数=23坪・43席/営業時間=16時~翌1時(土曜13時~、日曜13時~24時)/平均客単価=2,800~3,000円

 ◆五つ星店レベルの味を下町価格で提供 ラム肉の端材を食感のアクセントに

 「味は五つ星店、店内は港区、価格は下町」という本格洋食&ナチュラルワインのビストロが7月にオープンした。同店のSDGsの取り組みは、長年交流のある八百屋から不揃いの野菜を積極的に仕入れ、付け合わせの野菜やピューレ、フリットなどに活用。また、姉妹店のジンギスカン店で出るラムの骨は同店で煮込んでだしに、端材も料理の食感のアクセントになるような使い方で調理している。

 「私の周囲でもSDGsのキーワードを普通に耳にするようになった。“理念”と気負うほどではなく、“まずはできることから始めてみよう”とカジュアルに取り組んでいる」と、同店を運営するアクセットの椎名健仁代表取締役。この考え方こそ、飲食店がSDGsに取り組もうという際に持つべき視点かもしれない。

 【SDGsの取り組み】

 ・売り物になりづらい規格外の野菜を付け合わせ、ピューレ、「季節の野菜フリット」などに調理して提供

 ・ラム肉の骨や、系列のジンギスカン店で出る端材をだしに活用

 ●店舗情報

 「大人洋食Bistro1996,」

 所在地=東京都墨田区太平1-14-9/坪数・席数=11坪・22席/営業時間=16時~23時/平均客単価=6,000円

 【写真説明】

 写真1:厚さ3cmの極厚切り特上タン、上タン、低温調理赤身タンの食べ比べができる。牛タンの端材を細かく切って味付けし、具材感のある調味料に仕上げた「サクサク牛たん醤油」「牛たん食べるラー油」「牛たん南蛮味噌」など5種類の調味料と合わせる食べ方を提案

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら