メニュートレンド:ジャガイモをムースにしてON SNS、各種メディアで引っ張りだこ
そば屋のカレーうどんはうまい。和風だしが、カレーのスパイス感を日本人の味覚に合うように調整してくれるからだろうか? 劇的オリジナリティーで、カレーうどんをそば屋の看板メニューに格上げしたのが、「酒彩蕎麦 初代」の「初代の白いカレーうどん」だ。
開業後、間もなく、看板メニューを考案することになったとき、カレーうどんが候補に挙がった。だが、見慣れたカレーうどんでは面白みに欠ける。
「当時は“インスタ映え”とか“バズる”という言葉がはやりだしたころで、メニューをヒットさせるには見た目が重要だということになりました」と話すのは齋藤裕一店主。さらに「カレーライスのルウにはジャガイモが入っていますが、ジャガイモのゴロゴロした食感が邪魔になるので、カレーうどんには入れません。カレーうどんに合うジャガイモの加え方はないかと考えて、思いついたのがジャガイモをムース状にすることでした」。
ゆでて裏ごししたジャガイモに少量の生クリームとそばに使用するだしを加えたものを、エスプーマを使ってカレーうどんの表面を覆う。テーブルに運ばれた瞬間、「カレーうどんは黄色いもの」という既成概念が覆され、スマホのシャッターを切らずにはいられない。
「初代の白いカレーうどん」の画像が、SNSで瞬く間に拡散し、テレビや雑誌などメディアの取材が殺到した。それを見て、また来店者が増えるというプラスの連鎖に。
狙い通りにヒットしたが、メニュー開発には約1年の時間を要した。ジャガイモをムース状にするアイデアのほか、15種類以上のスパイスと5種類のブーケガルニでカレースープに風味を加えたり、長時間煮込んだ和牛を具材にするなどの工夫を凝らした。
来店者の6~7割が注文するというメニューはビジュアルも味も、すべてにおいて完成度が高いといえるだろう。
●店舗情報
「酒彩蕎麦 初代」
所在地=東京都渋谷区恵比寿南1-1-10 サウスコラム小林1階/開業=2010年/坪数・席数=35坪・37席/営業時間=11時30分~23時/平均客単価=2000円/1日平均集客数=150~200人
●愛用食材・資材
「ピンクペッパー」 甘利香辛食品(京都市伏見区)
「辛口」にトッピングしてスパイス感をUP!
黒コショウとは異なり辛味が穏やかでスッとした香りが特徴。「『初代の白いカレーうどん』の辛さは普通と辛口があり、普通は黒コショウを、辛口は黒コショウとピンクペッパーを仕上げに振ります。鮮やかな色が映えますね」と齋藤店主。
規格=80g