2024年10月度、外食動向調査 フードコンサルティング
●優良業態の前年割れなど好調トレンドに変化も
日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2024年10月度売上げは、前年同月比106.1%となり35ヵ月連続の増加を記録した。
今年10月はまだ夏のような日差しが続き、休日は前年に比べ1日少なかったものの、客数は前年同月比2.6%増、客単価も3.4%増となった。
個別に見ると、前年比を下回った業態は25業態となり、7月の29業態以来の増加となった。
気になるのは、これまで優良業態とみられていた木曽路グループ(木曽路95.2%、鈴のれん90.8%、じゃんじゃん亭92.4%)が前年を大きく割れているほか、NATTY(97.2%)は7ヵ月連続で前年割れとなり、串カツ田中(97.0%)も2ヵ月連続で前年割れとなった。
ほかにも、ひらまつ(95.3%)、SRS(和食さと98.4%)、ゆず庵(96.7%)は、13ヵ月間で初の前年割れとなるなど、これまでの好調なトレンドに変化が生じてきている可能性を感じる。
●ダイナミックプライシング導入を
人件費や食材費、エネルギーコスト、社会保険料負担など、外食業界を取り巻く環境は、足元の好調な売上げとは逆に、負担感が増すばかりの状況が続いている。
この状況は円安傾向と相まって当面続くとみられており、飲食店が生き残っていくためには、もはや値上げという最終手段しか残されてはいない。しかしながら、同じ商品の単なる値上げだけでは、すぐに客数の減少が生じる結果となることは目に見えている。
そこで、大手チェーンが導入している「ダイナミックプライシング」の導入を進めてみてはいかがだろうか。「ダイナミックプライシング」とは、商品やサービスの価格を需要と供給に合わせて変動させる価格戦略であり、いわゆる「変動料金制」だ。身近な例では、マクドナルドのモーニングやランチセットの割安な価格設定、居酒屋で多い17~19時までのハッピーアワーなどが該当する。
利用客の認知度に関しては、10月に実施されたリクルート社の調査において、「同じメニューが、ランチやモーニングでは割安」という設定の認知率が40.8%で最も高くなっており、また何らかのダイナミックプライシング実施店を「知っている・計」は57.0%で、特に若い世代ほど認知率が高い傾向にあると結果が出ている。
大手チェーンと異なり、中小チェーンや個人店では早朝や深夜帯の営業は、主に人手確保の面から実施が難しいものの、ランチ限定のセットメニューやハッピーアワー、20時以降の追加料金設定などは、業態が異なれどもすぐに導入可能なはずだ。新たなメニューは必ずしも必要なく、既存メニューの組み合わせが集客につながり、客単価アップも実現できるダイナミックプライシングの導入をぜひおすすめしたい。