2025年2月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2025.05.05 555号 05面

 ●前年比増収39ヵ月連続

 日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2025年2月度売上げは前年同月比6.0%増で39ヵ月連続の増加を記録した。2月は特に連休や大型のイベントはないものの、引き続き海外からのインバウンド客の増加や例年よりも雨天が少なかったこともあり、全体でみると外食需要は好調さを維持することができた。客数は前年同月比1.1%増、客単価は4.6%増となった。

 しかしながらブランド別で見ると、前年比を下回ったブランドは1月の15ブランドから29ブランドまで倍増し、俗に「ニッパチ」と呼ばれる商売の低迷期である2月(もう一つは8月)を象徴する数字となった。加えて、3ヵ月連続で前年を下回ったブランドは9ブランドあり、外食のかき入れ時である年末年始から低迷が続いているブランドが徐々に増えている印象だ。

 前号でも指摘したが、寿司、和食、惣菜などの和食業態の不振が目立つようになっており、小幅ながら値上げを複数回実施したことによる客離れが生じていると考えられる。大手外食チェーンとしては、値上げ実施=客単価アップによる増収効果+コスト増加分の吸収を狙ったものの、十分な効果を得られぬうちに客離れを起こし、肝心の売上げが下降線をたどり始めているのが実態であろう。

 ●「禁煙対策」は万全か?

 いろいろとトラブルの話題が多かった大阪・関西万博も、ようやくこの4月から始まったのだが、万博の開催に合わせるかのように、大阪府では4月1日から府内の飲食店のうち、次の要件を満たす店舗については、原則として店内を禁煙とする条例を定めた。

 (1)2020年4月1日時点で営業している飲食店

 (2)個人経営又は資本金が5000万円以下

 (3)客席面積が30平方m超100平方m以下

 今年3月末までは、国が定めた「健康増進法」に基づき、客席面積が100平方m超の飲食店を規制対象としていたが、4月以降は「30平方m超」という下限を大阪府独自に設定した。これにより、大阪府内で営業している8割以上の飲食店が規制対象となる見込みだ。万博を見越しているとはいえ、飲食店にとってこれは相当厳しい措置ではなかろうか。

 店内禁煙は、東京都でも2020年4月から「東京都受動喫煙防止条例」に基づき、原則として屋内禁煙が全面施行されており、2人以上の人が利用する施設は決められた場所以外では喫煙できない。加えて、愛知県でも2020年4月以降に開業した飲食店は、条例により店舗の規模にかかわらず屋内全面禁煙とされている。

 ただし、東京都の場合は、(1)施設内の客席部分の床面積が100平方m以下(2)中小企業(資本金または出資総額が5000万円以下)または個人経営(3)個人・家族経営など従業員がいない、という除外項目を設けている。

 しかしながら、店内禁煙の飲食店では、たばこの煙を吸い込むリスクや汚れた灰皿の清掃業務の負担が減ることから、特に女性のパートやアルバイトの応募が増える傾向もあるほか、お客さまにとっても店内禁煙は当たり前になりつつあり、喫煙は店外や店内の喫煙ブースで行う風景が日常になっている。

 いずれしても、年を追うごとに喫煙者数そのものが減り続けており、全国的に飲食店の店内が全面禁煙となる規制強化が設けられる日は必ずやってくることから、飲食店側も禁煙対策を先送りせずに、なるべく早めに取り組むべきである。

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