アポなし!新業態チェック(213)「おむすび 米屋の太郎」新宿センタービル店
●コメダ、おむすび専門店の新ブランド 注文後にむすぶ、名古屋おむすび「おかげ庵」併設テイクアウト店
コメダホールディングス傘下のコメダが、新業態「おむすび 米屋の太郎」の1号店を東京・新宿に出店した。同店は、店舗で注文を受けてから作るおむすびを販売する新ブランド。
コメや海苔といった素材へのこだわりに加えて、名古屋を発祥とする同社ならではの地元食材を使った“名古屋おむすび”が特徴だ。1号店は、同社の和風喫茶ブランド「コメダ和(なごみ)喫茶 おかげ庵」に併設したテイクアウトのみの店舗だが、一部のおむすびメニューは「おかげ庵」の店内でも注文することができる。
メニューに並ぶおむすびは23種類。「天むす」(380円)や「味噌ヒレカツむすび」(330円)、「うなぎむすび」(580円)などの“名古屋おむすび”5種類のほか、定番の「塩むすび」(150円)、「おかか」(230円)、「紅しゃけ」(290円)などから、「豚キムチ」(280円)、「明太子だし巻き」(350円)、「だし巻きいくら」(430円)といった個性的なアイテムまで、幅広くラインアップしている。また、惣菜として「から揚げ」(2個290円)や「だし巻き玉子」(580円)、汁物には「赤だし」(250円)、「豚汁」(380円)なども取り揃え、「塩むすび」と「日替わりおむすび」に惣菜をセットにした「日替わり弁当」2種類(850円・950円)も用意されている。
なお、販売する商品の税込み価格がどちらも同じになるように、イートインと持ち帰りでは税抜き価格が異なる設定となっている。(価格は税込み)
★けんじの評価:埼玉に単独店舗の2号店も出店
今回の1号店は「おかげ庵」との同時出店だが、それから1週間も経ずして、埼玉県川口市に十数席のイートイン客席を持つ単独店舗の2号店がオープンした。
東京都心部に初めて出店した「おかげ庵」は、それなりの集客を見せているようで、まだ知られていない「米屋の太郎」の認知度アップにひと役買っていることだろう。1号店は一等立地とはいえないが、「米屋の太郎」は物販店であるため、オフィス街でピーク時に集中して商品が売れれば採算は取れるという目論見かもしれない。むしろ、単独で出店している川口の2号店が成功するかどうかが、同ブランドの将来にとっては重要なのではないか。
現在、日本国内で日常食としての“おにぎり/おむすび”は、すでにコンビニや食品スーパーなどが多くの需要を満たしている。外食チェーンがそこに参入するためには、こうした需要とは別の新たなマーケットを喚起する必要があるはずだ。それはおそらく、やや単価の高い、高付加価値なゾーンなのだろう。「米屋の太郎」は、首都圏で認知度の高い「おむすび権米衛」より高めの価格設定になっているが、1個当たりのポーションはむしろ小さめだ。果たして、現在このようなマーケットは国内に幅広く存在するのだろうか。もしかすると、同社が最終的に狙っているのは海外での展開なのかもしれない。
近年、インバウンド観光客にも“おむすび”の人気は高まっているようだ。日本発の“おむすび”ブランドが世界展開という夢を見てもよいのだろうか。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「おむすび 米屋の太郎」新宿センタービル店
開業=2025年2月22日/所在地=東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル地下1階
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/