食べ物の単位と漢字10 混と交 【PR】

ごま塩は、どっち?

 「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)」という四字熟語がある。これは、「優れたものと劣ったものが区別なく混ざっている状態」を表している。「玉石」の「玉」は、とても価値の高いものの象徴なのだろう。宝石のようなものか。それに対して、「石」はそこら辺に転がっている石だな。
 そういえば、私は、この四字熟語以外で「混淆」という言葉にお目にかかったことがない。だから、ちょっと調べてみた。
 「混」と「淆」には、どちらも「まじる、まざる、入り乱れる」などの意味がある。ただし、「淆」は常用漢字ではないので、代わりに「交」を用いることがあるそうな。今回の四字熟語の場合は、「玉石混交」となる。「淆」と「交」は「コウ」という読みが同じだし、意味も近いし、うまい漢字を見つけ出したものだと思う。「玉石混交」で覚えている人も多いかもしれない。
 ところが、そんな固いことを言わなくてもいいのかもしれないが、同じ「まじる、まぜる」でも、「混」と「交」ではすこし意味が異なるのだ。
 「混」の右側の「昆」は、昆虫の形を表している。小さな虫が群れて混雑している様子から「まじる(いりまじる)」の意味を表している。「混同」「混迷」「混沌(こんとん)」のように、区別が難しく、はっきりしないような場合に用いる。だから、コーヒーとミルクをまぜる場合は、「混」だ。一度混ぜてしまったら、どこがコーヒーで、どこがミルクかを区別することはできない。
 一方、ごまと塩をまぜる場合(つまり、「ごま塩」)は、「交」だ。
「交」は、足を組んで立っている様子を表した象形文字。「乂」の部分が、いかにも「いりまじっている」感じがする。「交叉(こうさ)」「交際」「交易」などは、「まじわり」はあるが一つになっているわけではない。胡麻と塩をまぜる場合は、どれが胡麻で、どれが塩かを区別できる。しかも、それぞれの性質を失っていないので、「交」を使うわけだ。

 では、問題。「白髪まじり」は、「混」か? それとも、「交」か? 黒髪と白髪は区別できるので、「白髪交じり」が正解。
 では、「ゴーヤチャンプルー」は? 「チャンプルー」とは沖縄の方言で「ごちゃまぜ」という意味だ。「チャンプルー」は、「混」か「交」か?
 ゴーヤチャンプルーの完成品は、どれがゴーヤなのか識別できる。だから、「交」か。
 いやいや、各種の食材から出たうまみがまじり合って、元々の食材とは異なる一つのハーモニーを作り出しているという点では「混」か。
 沖縄の友人に尋ねてみた。「それが、『チャンプルー』なのだよ」と笑われた。

星田 直彦(ほしだ・ただひこ)

1962年、大阪府生まれ。奈良教育大学大学院修了。中学校の数学教師を経て、現在、桐蔭横浜大学 准教授。実生活や歴史の話題を多く取り入れた数学の講義は好評である。幅広い雑学知識を生かして、「身近な疑問研究家」としても活躍。
おもな著書に、『単位171の新知識』(講談社ブルーバックス)、『図解 よくわかる単位の事典』(KADOKAWA)、『楽しくわかる数学の基礎』(SBクリエイティブサイエンス・アイ新書)など多数。
ホームページ:「星田直彦の雑学のすゝめ」
ブログ:「雑学のソムリエ」

世界各国の産地から輸入されたごまには、茎や葉、砂などが交じっている。 ごま油作りは、まずこれらをきれいに選別することから始まる。 丁寧に選別されたごまを太白胡麻油であれば生のまま、太香胡麻油は高温の熱風で焙煎してから搾る。化学溶剤を使用せずに昔ながらの圧搾製法で搾るごま油は混じりけが無くごまのうまみを最大限感じられる。

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