食べ物の単位と漢字12 貝 【PR】

正しくは、「魚介類」です

  魚類や貝類などを総称して、「魚介類」と呼ぶことがある。それなら、「魚介」ではなく、「魚貝」と書けばいいのに……、と長い間思っていた。この話をすると、「俺もそう思っていた」、「私もそう」と、簡単に仲間が見つかる。そもそも、「魚貝類」と書くのだと疑いもしなかったという人さえいる。
「貝」と「介」は、どう違うのか? ある人から次のように教えてもらったことがある。

 「貝」という漢字をよく見てごらん。ほら、巻き貝の形に見えてこないか?
――見える、見える! それなら、「介」は?
「介」は、二枚貝の形を表しているんだ。
――おお、たしかに! 言われてみれば、二枚貝に見えるぞ!

 そのときは、なんだかちょっと感動してしまった。しかし、危ない危ない。うっかり納得してしまうところだった。「介」が二枚貝を表しているとしても、それならなぜ、「魚介類」なんだ? 「魚貝類」ではない理由は?
 まず、「貝」から。「貝」は、子安貝(上の写真)の形から生まれた象形文字だ。子安貝はたしかに巻き貝の一種なのだが、バイガイやサザエのようなしっかりとした「巻き」を持っていない。とても美しく、古くは財宝として珍重され、金属製の貨幣が普及するまでは貨幣として利用されていた。だから、経済関係の漢字には「貝」を含むものが多くあるのだ。
 一方、「介」は、二枚貝ではない。これは、体の前と後ろに鎧(よろい)を着けた人の形を表した象形文字だ。鎧を着けていると、身を守り、身を助けることができる。また、はさまる、間に入るという意味もある。「介護」の「介」は前者の意味、「紹介、仲介」の「介」は後者の意味である。
 もう、おわかりだろう。「魚介類」の「介」は、前者だ。「介」は、「鎧を着けている様子」を表している。「介」を使えば、貝殻はもちろん、甲羅や殻などの意味も表せる。だから、カニやエビだって魚介類なのだ。「魚貝類」よりも、「魚介類」のほうが意味する範囲が広いのだ。
 ところで、みなさん、気づいておられるだろうか?

   蛤(ハマグリ)
   蜆(シジミ)
   蜊(アサリ)
   栄螺(サザエ)
   牡蠣(カキ)

 ずいぶん探したのだが、貝偏、あるいは、「貝」というパーツが使われている貝を表す漢字が、見つからない!

星田 直彦(ほしだ・ただひこ)

1962年、大阪府生まれ。奈良教育大学大学院修了。中学校の数学教師を経て、現在、桐蔭横浜大学 准教授。実生活や歴史の話題を多く取り入れた数学の講義は好評である。幅広い雑学知識を生かして、「身近な疑問研究家」としても活躍。
おもな著書に、『単位171の新知識』(講談社ブルーバックス)、『図解 よくわかる単位の事典』(KADOKAWA)、『楽しくわかる数学の基礎』(SBクリエイティブサイエンス・アイ新書)など多数。
ホームページ:「星田直彦の雑学のすゝめ」
ブログ:「雑学のソムリエ」

魚介類の料理というと、どんなものを思い浮かべるだろうか。刺身、焼き魚、煮魚と、和食には魚介類は欠かせないし、ヨーロッパにもシーフードを愛好する国は多い。忘れてはいけないのが、中国料理。蒸した魚にネギやショウガなどを散らした蒸魚(ツェンユイ)は、最後に熱したごま油を回しかけるのがポイント。魚の濃厚な旨みを堪能できる。イタリア料理のカルパッチョも、オリーブオイルの代わりに太白胡麻油を使えば、魚介の甘みをさらに引き立ててくれる。魚介類とも相性のいいごま油、健康のためにも上手に食事に採り入れたい。

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