アポなし!新業態チェック(202)「plant more」ルミネ新宿店
●カフェ・カンパニー、食の多様性提案 プラントベースの料理と共に、肉などを使ったメニューも提供
カフェを展開する外食企業の草分けともいえるカフェ・カンパニーが、東京・新宿のJR駅ビル商業施設「ルミネ1」の6階に“ヴィーガンフレンドリー(※)”を掲げたカフェの新業態「plant more(プラント モア)」を出店した。同店は、植物由来原料のみを使用した料理に加えて、肉や魚などを使った料理も提供することで、さまざまな食の志向や嗜好を持つ人々が同じテーブルを囲むことができる、という独自のスタイルを提案している。
メニューは中東料理などが中心。コロッケ風の豆料理として知られるファラフェルをメインにした「ミールプレート」(1800円)やピタパンの「ファラフェルサンド」(1300円)、「アボカド&スーパーグリーンサラダ」(1000円)、「ひよこ豆のフムス」(600円)などは、すべて植物由来の食材を用いたプラントベースのメニューだ。ほかに、「チキンケバブ」(1900円)や「シャクシュカ」(1800円)など、肉や卵を使ったプレート料理も用意されている。また、スイーツ系のメニューはすべてプラントベースのもの。「チョコレートケーキ」(980円)、「ティラミス」(900円)などのケーキ類や、アーモンドミルクのソフトクリームを使用した「季節の果実サンデー」(1300円)など、焼き菓子を除いても10種類以上あり充実している。
店内は自然素材をモチーフにしたシンプルなデザインで、グレー系のカラーでまとめられたシックな大人の空間だ。(価格は税抜き)
※取材時の情報
★けんじの評価=スイーツはすべて植物由来メニューで
創業から年月を経て規模が拡大したカフェ系の外食企業たちも、次第に方向性が分かれつつあるように感じる。ゼットンやバルニバービなどは地方の自治体と連携した展開が多いようだが、老舗のカフェ・カンパニーはどこへ向かおうとしているのか。
同店が出店しているフロアはレストランフロアではない。インテリアや雑貨、衣料品テナントなどが入居する物販の多いフロアなのだが、同フロア内には「スターバックス」を含めて3店舗のカフェが営業している。ずいぶんと競争環境の激しい立地に出店したものだと少し驚いた。
同社が、新宿という世界でも有数の繁華街の中心で、ナチュラル志向の新業態をオープンした意図はどこにあるのだろう。そもそも「ヴィーガン」とは、乳製品や卵などを含めて動物性の食物を一切食べないというだけではなく、衣料品や化粧品などにも動物を利用したあらゆる製品を使用しないという、かなり厳格な主義主張を持つ人々のことを指す。単に動物由来の食品を食べないという菜食主義(ベジタリアン)とは異なり、中には人間が動物を利用する活動すべてに反対するといった厳しい考え方の人々も少なくないのだ。そうした人たちは、果たして肉を使った料理をメニューに載せている飲食店を「フレンドリー」と感じるのだろうか。
また、欧米からの外国人観光客も急増しているこの時期に、昨年から高い緊張が続く中東をテーマにした料理をメニューに据えるというのも、なかなか度胸があるなあと思いつつ店を後にした。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「plant more(プラント モア)」ルミネ新宿店
開業=2024年3月4日/所在地=東京都新宿区西新宿1-1-5 ルミネ新宿1 6階
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/