アポなし!新業態チェック(205)「香華園」
●フォーシーズ、商業施設に中国料理店 昔ながらの幅広いメニュー構成、利用しやすいセットメニュー
デリバリーピザの「ピザーラ」からフランス料理の巨匠ジョエル・ロブションのレストランまで、幅広いブランドを展開するフォーシーズが4月、中国料理の新業態「香華園」を東京・多摩市の商業施設レストラン街に出店した。
同店は、スタンダードな中国料理を幅広く取り揃えた昔ながらのスタイル。北京料理の北京ダックから上海料理として知られる小籠包まで、メニューには日本で人気の中国料理が並ぶ。例えば麻婆豆腐も、山椒を利かせた四川風とマイルドな広東風の両方を用意するなど、幅広い利用者を想定した構成となっている。
同店のメニューはランチタイムにその魅力がある。この時間帯のみのセットとして、「四川式麻婆豆腐」「海老のチリソース」「本日の麺」など8種類の料理からハーフサイズで2品を選べる「ハーフ&ハーフセット」(1880円)が人気だ。スープやザーサイなどの副菜も付き、セットのライスはチャーハンにもできる。ほかに、麺を除く7品から1品を選ぶ「一品ランチセット」(1250円~。料理により異なる)や、3種の麺と2種のチャーハンから1品ずつ選ぶ「麺&半チャーハンセット」(1480円)など。17時からの「夜の一品セット」(1500円~)はランチセットと同様のスタイルだが、前菜が追加され、点心なども選べる。一人客でも利用しやすいメニュー構成だ。
また7月には、同商業施設の1階にある食物販フロアに、同じ「香華園」ブランドで中華惣菜の専門店を出店している。
(価格は税込み)
★けんじの評価:同施設内に同ブランドの惣菜店も出店
フォーシーズの創業は1980年。輸入商社としてスタートしたが、87年に主力ブランドとなる「ピザーラ」を出店し、同年にフランチャイズ店もオープンする。95年には「ピザーラ」300号店を出店、また同年、外食店の「TO THE HERBS」1号店をオープンしている。以後、デリバリーと外食を両輪で展開してきたが、2005年に「ジョエル・ロブション」ブランドのレストランを出店して以後、多様なスタイルの外食店が増えた。今回の「香華園」は同社として60業態目のブランドになるという。
今回、4月にレストラン街への出店、7月に惣菜店を出店という経緯は、おそらく当初から予定されていたのだろう。現在、日本のフードビジネスの分野では、飲食店(外食)よりも食物販(中食)が市場の伸びをけん引している。レストラン街に出店する飲食店が、同じブランドの食物販店舗を下層階の食品フロアに出店するというのは、これまでも豚カツ店などの有名ブランドが行なってきた戦略の一つだ。
同店が出店したのは、京王電鉄の聖蹟桜ヶ丘駅に付帯する商業施設「京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター」。かつて、百貨店や駅ビルのレストラン街には、必ず同店のような総合的な中国料理店が1店舗は出店していたが、次第にそうした店は少なくなってきた。同施設内に外食と中食の2店舗を出店することで、食材や人員の効率化など運営上のメリットを生かせる仕組みができるのであれば、今後、新しい展開モデルとなるかもしれない。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
店名=「香華園」
開業=2024年4月26日/所在地=東京都多摩市関戸1-10-1 京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター B館8階
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/