アポなし!新業態チェック(208)「イタリアンリゾート ペルティカ」小平店
●すかいらーくのイタリアン新業態 グループ会社ニラックスが開発 コンセプトは高原のリゾート
すかいらーくホールディングスの傘下にあるニラックスが8月、イタリアンの新業態「イタリアンリゾート ペルティカ」を東京・小平市にオープンした。高原リゾートをテーマに据え、同社グループの「ジョナサン」小平店を業態転換した新ブランドだ。
ピロティ型の店内に入ると、まず目に留まるのは、約12mあるという巨大なインペリアルドリンクバー。コーヒーマシンのほか、ペーパードリップでコーヒーを抽出する機器や数多くの茶葉、ジュース類など、合わせて40種類以上ものドリンクが並ぶ。ドルチェとジェラートは合計15種類ほどあり、2品、3品を組み合わせた注文も可能。
料理は単品での注文もできるが、メニューの中心はランチ、ディナー共に3種類が用意されているコースだ。ランチは1499円~、1799円~、1999円~のコースがあり、それぞれメインの料理によって価格が変わる。ディナーは最低価格が各100円ずつ高く、土曜・日曜や祝祭日のランチも同様の価格となる。それぞれの価格帯によってサラダやスープ、フォカッチャなどが加わり、すべてのコースにはドリンクバーが付く。ランチではパスタ・リゾット・ピザの3種類、ディナーはそれに肉料理と魚料理を加えた5種類のメインから1品を選ぶという仕組み。パスタは自社製造の生パスタで、バジルの葉を自らすりつぶしソースを作るといった楽しみもある。
10月からは新メニューが登場し、アフタヌーンティーのセットも始まった。(価格は税抜き)
★けんじの評価:売り物はドリンクバーと多数のデザート
すかいらーくグループは、さまざまな方向から新たなブランドの開発に着手している。今回はビュッフェレストランを展開するニラックスが新業態の開発に参戦したようだ。「ペルティカ」はビュッフェ業態ではないが、それと近い発想で設計されているように感じた。
同グループのメニュー構築力は高い。だから同グループの店舗で提供されている料理は、どの業態であってもその価格に比して十分な価値がある。今回のようなタイプの業態は、さらに何らかの付加価値を付け加えようという試みなのだろう。しかし筆者は、そこに利用者との間の微妙なずれを感じてしまうのだ。
例えば、筆者が新しいタイプの「ファミレス」だと考えるトリドール(正確には子会社のKONA’S)の「コナズ珈琲」には、メニューの「量」を付加価値とする視点はあまりないように思える。現代の食事の「豊かさ」が必ずしも「量」ではないように、サービスや店舗デザインもまた、従来のファミレスとは異なる価値観で構築されるべきなのだろう。
すかいらーくはファミリーレストラン業界の最大手だ。あくまでも筆者の個人的な見解だが、すかいらーくが最も得意とするのは、やはりファミレスなのだと思う。かつて、ファミレスの「すかいらーく」や「イエスタデイ」を初めて利用した頃の感動を再び感じるのは難しいことだろうか。いつか、すかいらーくが初心に帰って、同社が考える“現代で最強のファミリーレストラン”をつくり上げてくれることを期待しているのだが。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
店名=「イタリアンリゾート ペルティカ」小平店
開業=2024年8月26日/所在地=東京都小平市小川町2-1813
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/