業界TOPICS:間借り営業で人気の料理人グランプリ「シェアレストランアワード2025」

【金賞】間借り営業からスタートし、実店舗を今年開業した東京・中目黒「Ce Vinci(チェヴィンチ)」の「イチゴとフルーツトマトのパスタ」2,200円(税込み)。「美しく、ストーリー性もあり、とても面白かった。わが国の食の素晴らしい多様性を強く感じた」と河村

【銀賞】東京・三軒茶屋「COFFEE AND TOAST(コーヒーアンドトースト)」の「“ぽっかぽか”えびと帆立のグラタンぱん!」2,980円(税込み)。「今の時代はSNSで『何かおいしそう』というものが求められている。5,000kcal以上もありそうなメニューを一皿にした勇気に感銘した」と、臼井代表

【銅賞】現在は実店舗開店に向けて準備中の東京・阿佐ヶ谷「Mamma Lampe.(マンマ ランプレドット)」の「ランプレドット・パニーノ」1,500円(税込み)。「味とオリジナル性を高く評価した。フィレンツェの郷土料理を直球で投げ込んでいて、心に刺さった」と渡辺シェフ
吉野家ホールディングス(以下、吉野家HD)と同社の子会社、シェアレストランは9月16年、飲食店間借りマッチングサービス「シェアレストラン」を利用して大人気店へと成長した料理人たちが看板料理を競うグランプリ「シェアレストランアワード2025」を開催した。間借り営業から人気を確立した実力派料理人10名が会場で調理を披露し、審査員が試食評価。金賞は「Ce Vinci」、銀賞は「COFFEE AND TOAST」、銅賞は「Mamma Lampe.」が受賞した。
「シェアレストラン」は2020年3月にサービスを開始。飲食店開業者は店舗を間借りすることで投資や借金をせずに開業してファンを作ることができ、店舗を貸す飲食店オーナーは保有店舗の空き時間を収益化できる。25年時点で累計1000店舗以上が同サービスを利用して開業しており、利用者の約2割が独立開業を果たしている。間借り営業の業態はカレー店など1メニュー型が多く、ランチのみや週1回など、営業スタイルはさまざまだ。「トライアルとしての開店や、趣味で週1回営業したり、飲食店スタッフの副業、リタイアしたシニア層が長年の夢だった飲食店を立ち上げる、といった例もある。居酒屋・バル、コンセプトカフェなど交流の場のような店舗も多い」と、シェアレストランの藤田新ゼネラルマネージャーは語っている。
吉野家HDの河村泰貴取締役会長によると、「シェアレストラン」を開始した発端は「以前、一等地の東銀座エリアでランチ営業をしていない店舗が意外と多いのを目にした。このスペースを利用すれば意欲のある料理人が初期コストを抑えて開店できるのでは、と考えた」という。吉野家HDという外食企業が、ある意味、競合となり得る飲食店開業に向けたサービスを手がけた理由については、「飲食店の出店には多額の費用がかかり、リスクも苦労も大きい。開業リスクを小さくスタートできれば多様な外食店が増え、日本の外食文化が花開く。われわれチェーン店は、さまざまな個性ある個店が数多くあってこその存在」と思いを語った。
◆「シェアレストラン」(https://share-restaurant.biz/company/)
開業希望者は低コストで開店 店舗オーナーは空きスペースを収益化
空きスペースを間貸ししたい飲食店オーナーと、間借りしたい人を結ぶマッチングサービス。手数料は飲食店オーナーが設定したスペース利用料の20%。