メニュートレンド:ぐつぐつ煮立てる「醤油のフォンデュ」 日本料理の新定番誕生か
老舗醤油メーカー、岡直三郎商店直営の「醤油料理 天忠」は“醤油料理”をうたい、自社で200年以上受け継がれてきた木桶仕込み・天然醸造醤油の魅力を提案する数々の料理を展開している。中でも名物料理の「焦がし醤油フォンデュ」が新感覚だ。チーズフォンデュ、オイルフォンデュはバルなどでは定番だが、醤油の蔵元がこだわる醤油のフォンデュとは果たしてどういった料理なのか。
醤油の魅力を発信すべく同店は創作料理店として2004年に創業し、その2年後にコンセプトを明確にするため「醤油料理 天忠」としてリニューアルした。とはいえ日本料理というと多くの料理は醤油を使うはずだ。「確かに日本料理=醤油料理、といった感があり、ほかの日本料理と何が違うのか。そう問われるとちょっと答えに窮する(苦笑)」と、和泉澤正康店長。「素材本来の味を生かす醤油を名脇役と位置づけ、料理に合わせてとことん吟味して使う醤油を変えている。刺身も数種類の醤油を並べて味を楽しめるようにしている」という。
そんな同店が名物料理に据えているのが、「焦がし醤油フォンデュ」だ。同店の女性従業員が「バーニャカウダ」を参考に思い付き、料理長がブラッシュアップしてメニュー化した。濃口醤油、たまり醤油、裏ごししたもろみに牛乳、クリーム、アンチョビなどを合わせたベースのソースを鍋でぐつぐつと煮立て、具材を絡めて食べるという斬新な一品だ。具材は海鮮、肉類、季節の野菜、赤コンニャクなど多彩でどんな食材にも好相性。煮立てた醤油ソースは見た目ほどには塩味がとがっておらず、クリームとアンチョビの隠し味のおかげで驚くほどまろやかで、ほんのり甘くコクのある味わいに仕上がっているのだ。
「醤油フォンデュ目当てに遠方から足を運んでくださる長年のファンも多い。名古屋方面から来店したお客さまで『どこか味噌カツっぽい味わい』と表現された方もいる」(和泉澤店長)。“目の前でぐつぐつ煮立てるコクのある醤油ソース”というのは、特に刺身に合わせる醤油以外の新しい調味提案として秀逸だ。締めには俵ご飯が用意されており、少し煮詰まった甘辛いコクのあるソースに絡めると繊細な味噌焼きおにぎり風の味わいが楽しめる。
日本料理の調味の原点といっていい醤油だが、同店の斬新な「醤油フォンデュ」の提案は新定番となり得るか。新たな醤油グルメ拡大の可能性が期待できる。
●店舗情報
「醤油料理 天忠」
所在地=東京都町田市中町1-3-4/開業=2004年/席数=44席/営業時間=11時~15時、17時~22時。不定休/平均客単価=昼2500円、夜4000円/1日平均集客数=80人
●愛用食材・機器
「国産有機 濃口しょうゆ 一番しぼり」 岡直三郎商店(東京都町田市)
昔から変わらぬ木桶仕込み
国産の有機丸大豆、有機小麦、国産塩を原料に木桶に仕込み、1年以上をかけて発酵熟成させた一品。「焦がし醤油フォンデュ」に使用。「木桶で仕込んだからこそのコクと複雑なうまみがある。フォンデュのベースにすると、しっかりとした醤油の魅力を出しながら、後味はすっきりと仕上がる」と和泉澤店長が太鼓判を押す。
規格=1.8L(常温)












