この一品が客を呼ぶ・神戸:「元町ケーキ」ざくろ

2004.02.02 280号 10面

元町ケーキの「ざくろ」と聞いて、ザクロが入ったケーキを想像する神戸っ子は、まずいない。大きなイチゴが載ったこのケーキは、約三五年前の発売以来、神戸の人たちに愛され続けてきたケーキだ。一日の売上げ数は五〇〇~六〇〇個、土・日は一〇〇〇個、さらにクリスマス前にはなんと二〇〇〇個に達するという。

洋菓子の街として、たくさんのケーキショップ・カフェが立ち並ぶ神戸。新旧とりどりの店が競い合うなかで、五六年にわたって変わらぬ人気を保っているのが元町ケーキだ。

この店のキャッチフレーズは「ママがえらんだ元町ケーキ」。二代目の向井和人さんは「初代は、『ウチのターゲットは小学生』と言い続けていました。基本的には洋酒を効かせないケーキ。添加物はもちろん使いません」と話す。洋酒を含むケーキは、きちんとショーケースに表示されている。

そんなこの店のケーキで一番人気は「ざくろ」。やわらかいスポンジの中に、生クリームがたっぷり、そのなかに大きなイチゴを載せた、“看板娘”だ。割れたザクロのような形から付いたネーミングで、ザクロが入っているわけではない。ふわふわとした黄色いスポンジは卵黄のみを使用。やさしい味わいの生クリームはイチゴが沈んでしまわないよう、硬めに立てるのがポイントだ。真ん中のイチゴは、味の良い国産物のみを使っている。

さらにサイズは普通よりも大きめのLを使用。「お客さんが喜ぶように」ということだが、仕入れやすさも理由のひとつ。「多くのケーキで使われるS・Mサイズは、クリスマス前などは品薄になり、値段もかなり上がる。でもLは逆に割安になるんですよ」と向井さん。

こうしたさまざまな工夫で、ひとつ二三八円、「四人家族で合計一〇〇〇円で収まる値段」を維持。気軽に食べられる値段も息の長い人気の秘密だ。

◆元町ケーキ(神戸市中央区元町通五‐五‐一、電話078・341・6983、一八席)営業時間=午前8時~売り切れ次第終了/一日食数=五〇〇~六〇〇個(三店舗合計)

◆食材の決め手 脂肪分50%生クリーム カルピス(株)

子どもたちはもちろん、実は男性にも人気があるというこの店のケーキ。その秘密のひとつは生クリームにある。「普段は生クリームが嫌いな人も、ウチのは食べられる、という人が結構いるんです」という自慢の生クリームは、牛乳の風味が濃く、フレッシュな印象だ。

カルピスの脂肪分五〇%の生クリームに、他のメーカーの生クリーム数種類をブレンド。洋酒もバニラエッセンスも使わないため、この配合がポイントとなってくる。

▽問い合わせ=カルピス(株)(東京都渋谷区、電話03・3463・2111)

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