食材活用の達人:フレンチ割烹「KEIZO」
東京で最も粋な人種が夜な夜な出没する街、西麻布。この街の常連である、富裕層、業界人、飲食業関係者といった百戦錬磨のつわものたちの間で今評判の店が「フレンチ割烹・KEIZO」だ。この店を経営する井上桂三オーナーシェフは、三ツ星レストランや有名料理店で長年修業を積んだフレンチの達人であり、業務用食材活用の達人でもある。
東京は西麻布、「フレンチ割烹・KEIZO」は、昨年9月のオープンからわずか一年で、何度もTVや雑誌に紹介されている話題の店である。カウンターフレンチという舞台裏が丸見えの環境で、本物を知り尽くしたシビアな人たち相手に平均一万四〇〇〇円という高単価以上の満足を与え、短期間で店を軌道に乗せた井上オーナーシェフの実力は計り知れないものがある。
「料理をしながらお客さまと会話できる店にしたかったので、この場所、この物件、この業態を選びました。お客さまから直接お聞きしたさまざまなリクエストに応えるため、いろいろな食材や調理方法に挑戦中です」と井上シェフ。雇われ料理人からオーナー料理人になったスタートの一年を振り返る。
これまでは正統派フレンチのルール通りに料理していた食材も、和、中華、エスニックなどのテーストを加えることによって、料理のレパートリーが三倍に広がったそうだ。業務用食材も積極的に使うようになったという。
「毎日お越しになり、月に一〇〇万円以上使うお客さまもいらっしゃいます。当然、同じものは出せないので、こちらも必死です」と言う井上シェフだが、顔には笑みが絶えない。毎晩繰り広げられる客との真剣勝負が楽しくてたまらない様子だ。
そんな井上シェフにお願いして、業務用食材を活用したオリジナル料理を二品作ってもらった。
「料理は工夫次第。業務用食材も一手間と一言を加えれば、立派な料理になります」という井上シェフ。
「本格的なお菓子作りにもチャレンジしたい」と今後の抱負を語る井上シェフにとって、これからも業務用加工食材は強い味方になりそうだ。
◆フレンチ割烹・KEIZO(東京都港区西麻布四‐四‐一六、電話03・5466・4486)営業時間=午後6時~翌午前3時、水曜定休/席数・坪数=カウンター一二席、テーブル八席・約二〇坪
◆食材紹介
S&Bスパイスミックス・タンドリーチキン(エスビー食品)
サトウの切り餅(佐藤食品工業)
◆お店のヒットメニュー
■フカヒレのミネストローネスープ(もち入り)(2500~3000円)※フカヒレ抜きの場合1680円
作り方=仙台のフカヒレの水煮(小梨商店)をミネストローネスープで煮込み、最後にベーコンを巻いたサトウの切り餅(佐藤食品工業)を入れる。出来上がったらチーズとバジルのピューレをトッピングし、ハーブオイルをかける。
■リードボーのタンドリー風生春巻(1800~2000円)
作り方=タンドリーチキンの素(エスビー食品)、ココナツパウダー、ヨーグルト、カレー粉、クミンのスパイスなどに3日間漬け込んだ牛の胸腺肉を焼く。洋ナシとカキを入れてライスペーパー(有紀食品)に巻き込む。仕上げに赤スグリのジャムを垂らす。