クローズアップ現在:ベーグル再燃に見る若者ニーズ 「ヘルシー」「つるんと丸い」が響く

2026.03.02 565号 07面
しっとり、もちもちとした独特の食感とヘルシーなイメージで再注目されているベーグル。生地をシンプルに味わったり、サンドイッチにもアレンジできるのが魅力

しっとり、もちもちとした独特の食感とヘルシーなイメージで再注目されているベーグル。生地をシンプルに味わったり、サンドイッチにもアレンジできるのが魅力

東京・新大久保に2月、オープンしたベーグル専門店「TOKYOBAGEL LAB(東京ベーグルラボ)」は、NYクラシックなむちむちベーグルをベースに、ピスタチオ、抹茶、韓国風ブルゴギ、濃厚クリームチーズなど、韓国グルメとグローバルトレンドを融合させた全29種のフュージョンベーグルを提供

東京・新大久保に2月、オープンしたベーグル専門店「TOKYOBAGEL LAB(東京ベーグルラボ)」は、NYクラシックなむちむちベーグルをベースに、ピスタチオ、抹茶、韓国風ブルゴギ、濃厚クリームチーズなど、韓国グルメとグローバルトレンドを融合させた全29種のフュージョンベーグルを提供

築野食品工業はこめ油と米粉のグルテンフリーシリーズ「come×come(コメトコメ)」として、「米粉のもっちりベーグル」を1月から販売。製菓製パン用こめ油「P&Bオイル」と国産米粉100%の生地で仕上げることで、もっちりとした弾力のある食感を実現した。フレーバーは、「プレーン」「くるみココア」「チョコチップ」(単品各290円・税抜き)の3種類。

築野食品工業はこめ油と米粉のグルテンフリーシリーズ「come×come(コメトコメ)」として、「米粉のもっちりベーグル」を1月から販売。製菓製パン用こめ油「P&Bオイル」と国産米粉100%の生地で仕上げることで、もっちりとした弾力のある食感を実現した。フレーバーは、「プレーン」「くるみココア」「チョコチップ」(単品各290円・税抜き)の3種類。

日本発のベーグル専門店「BAGEL&BAGEL」では健康的なライフスタイルを意識する層に向け、ほうれん草を練り込み、チーズをトッピングした「ほうれん草とチーズ」(294円・税込み)を2月に限定販売した(写真はイメージ)

日本発のベーグル専門店「BAGEL&BAGEL」では健康的なライフスタイルを意識する層に向け、ほうれん草を練り込み、チーズをトッピングした「ほうれん草とチーズ」(294円・税込み)を2月に限定販売した(写真はイメージ)

セブンイレブンでは2月から「もっちり食感のチーズベーグル」(180.36円・税込み)を発売。中華まんのケースで販売し、中華まん蒸し器で温めて提供する。“究極のもっちり食感”を実現した温かい生地で、ベーグルの中からは濃厚なチーズがとろけ出す新感覚の味わいだ

セブンイレブンでは2月から「もっちり食感のチーズベーグル」(180.36円・税込み)を発売。中華まんのケースで販売し、中華まん蒸し器で温めて提供する。“究極のもっちり食感”を実現した温かい生地で、ベーグルの中からは濃厚なチーズがとろけ出す新感覚の味わいだ

 ベーグルの人気が再燃している。一気にではないが、じわじわファンを増やしているイメージだ。ベーグル巡りをしたり、朝昼晩の食事のいずれかをベーグルにする若者も増えており、「ベーグル活」というワードも生まれた。なぜ、またベーグルが人気になっているのか。ベーグルという一つの商材に、今どきの若者ニーズが映し出されている。

 ●ジェンダーフリー時代のベーグル

 「ベーグル? 知らない」「知っているけれど、興味がない」というオジサマ方は少なくないだろう。そんなことを書くとジェンダー云々と言われそうだが、ほとんど群がっているのは女子だ。むっちりとした噛み応えのある食感で、バターを使用しないさっぱりした味わいのパンなので、脂質を求める人にはそそられない食べ物かもしれない。しかし、最近は専門店に行列している女性陣の中に、“健康志向の男子”や、“小麦が好きな男子”“小洒落たオジサマ”も見かけるようになってきた。

 ●ベーグルの歴史と広がり

 ベーグルは、16世紀に東ヨーロッパのユダヤ人コミュニティーで誕生したと考えられている。卵や牛乳、バターなどの油脂を使用しないのが特徴なのだが、それはユダヤ人のコミュニティにおいて、宗教上の理由から乳製品や卵を使わずに作られたことが発祥、とされる。また、オーブンで焼かずにゆでる製法により、比較的保存がきくため重宝され認知されていったようだ。

 1980年代にはユダヤ系ポーランド人移民によってニューヨークに広まる。そのためニューヨークにはベーグル専門店が多くあり、専門店以外でもそこかしこで硬めで大きな迫力あるベーグルが食べられる。日本には専門店があまり無い時代、筆者はニューヨークやカナダでひたすら食べ歩きをした記憶がある。

 ●ヘルシーだけではない現代のニーズに対応

 脂質が少ないベーグルにはヘルシーなイメージが強い。また、ゆでるという調理法にも日本人は「ヘルシー」なイメージを持っていると感じる。さらに、「パンはもちもちが好き」という女子の好みにも合っている。むっちりと弾力ある食感が、食べ応えもあり腹持ちが良い。噛み応えもある。少量でもお腹が膨れやすい。よく噛むので食べ終わるのに時間がかかる。そのため満腹中枢を刺激されやすく食べ過ぎないというメリットもある。私もベーグルサンドであれば、一つでランチは満足する。

 また、若い女子は何も挟まずにベーグルだけをランチに食べることもある。バターすら塗らない。おにぎりを食べるのと同じような感覚で、「ワンハンドで食べられるパン」という位置づけができるのもベーグルの魅力だろう。

 さらに、トーストやバゲット、クロワッサンのようにポロポロと飛び散ることが無い点も「食べやすさ」を求める現代に合っていると感じる。様々な条件が重なり、今どきの女子には便利でおいしい軽食として支持されているというわけだ。

 形にも着目した。つるんとした表面は美しいし、丸い形も特徴的だ。「日本人はマルが好き」、といのは私の勝手な持論なのだが、丸い形がかわいらしく、映えに繋がりやすい見た目なのだろう。

 ●韓国ブームの後押し

 こうした諸条件に加えて、最近の再ブームには、韓国ベーグルの人気も後押ししているといえそうだ。韓国のスイーツやパンが流行るのも最近の傾向ではある。

 本来ベーグルは中央が空洞でドーナツ型が多いのだが、韓国ベーグルは中央も詰まっている。そのため、具材を挟む時に便利で扱いやすい。厚さもあるので、生地の中にクリームを注入するなど様々なアレンジができる。生地をチューブ状にして中に埋め込むため、表面上は中のフレーバーがはみ出ていないので手がべとつくこともなく片手で食べられる。また、映えもするし満足度も高い。

 ●今どきのトレンドを探ってみると

 トレンドといっても「全国民が周知しているトレンド食」というのは生まれにくい時代。顧客をカテゴライズすると、一定の層だけに人気、というグルメが多い。ベーグル人気を知らない層も少なくないだろう。しかし何度もブームが来る食品には何かしらの理由がある。そこを探ると、別の層にも使えるニーズが浮かび上がってくることもあるのではないだろうか。

 (食の総合コンサルタント トータルフード代表取締役 メニュー開発・大学兼任講師 小倉朋子)

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