冬場のノロウイルス対策に「イソジンウォッシュ」 CVSや外食で採用相次ぐ
冬場の食中毒対策として、明治製菓(株)(くすり相談室=東京都中央区、電話03・3273・3474)のイソジンウォッシュが注目されている。今年初頭のノロウイルス騒動で潜在的なニーズが顕在化。ノロウイルスに有効な人体に使用できる唯一の消毒剤として、冷食・缶詰・給食センターなどから問い合わせが殺到したという。大手コンビニやハンバーガーチェーンでも採用されており、担当者は「企業の食中毒対策意識の高さは想像以上」と驚きを見せる。CSR(企業の社会的責任)やリスクマネジメントへの取り組みは、企業にとってもはや当然と言っても過言ではない。発生してから手を施しても遅いのが食中毒。企業の存続にかかわる危機を未然に防ぐためには、高い衛生管理意識と全社をあげた取り組みが必要だ。
コンビニでは、ベンダー(工場調理型弁当惣菜納入業者)のおよそ半数にイソジンウォッシュの導入を要請。衛生管理の徹底を推進している。ハンバーガーショップでは試験的に導入を図っており、結婚式場の運営会社でも、調理に携わるスタッフに同製品の積極的な使用を促している。
イソジンウォッシュはポピドンヨードを有効成分とする殺菌消毒剤。各種細菌やウイルスなど広範囲の微生物に対して迅速な殺菌・消毒効果を発揮する。適量を手にとりよく泡立て、すり洗いした後水で洗い流す。刺激が少なく、手指や皮膚の消毒に適した医薬品だ。「食品ににおいが移らず、使い勝手が良い。作業者の衛生管理に最適だ」と、ユーザーからの評価も高い。
一般的な食中毒対策として、食品を扱う現場ではアルコールや逆性石鹸が使われている。しかし、これらでは完全に殺菌しきれない微生物も多い。また、ほぼすべての微生物に有効な次亜塩素酸ナトリウムやグルタラールは毒性が強すぎ、人体への使用は適さなかった。
今年前半、食品業界を震撼させたノロウイルス。厚労省の調べでは、今年初頭の感染性胃腸炎で12人が死亡。7812人に感染の疑いがあり、その原因はノロウイルスだとされている。
ノロウイルスは食中毒の原因として夏場に増殖する細菌と違い、冬場に猛威を振るう。11月から発生件数は増え始め、1~2月にピークを迎える。
夏場を乗り切り、9月は油断が出る季節。一度食品事故が発生すれば企業の信頼は失墜する。早期の徹底した食中毒対策が必要だ。