アポなし!新業態チェック(224)「PRONTO THE FIRST」
●「プロント」1号店をフルリニューアル 昼夜の二面性を明確に打ち出し銀座らしいメニューも追加
プロントコーポレーションは、1988年に1号店として開業した「PRONTO(プロント)」の銀座並木通り店を、新業態の「PRONTO THE FIRST(プロント ザ ファースト)」としてリニューアルオープンした。当初から昼と夜で営業を変える“二毛作”業態として開発された「プロント」だが、今回の店舗はその特徴をより鮮明に打ち出したフラッグシップ店。
同店は1階と2階に分かれた構造で、1階は終日カフェとして、2階は17時までがカフェ、それ以降はバーとして営業する。内装のデザインも、モダンな都市型カフェのスタイルである1階に対して、2階は中央にバーカウンターを配置し、メタリックな素材を多用した近未来風の意匠が印象的だ。
カフェのコーヒーは、ホットがドリップ、アイスはダッチコーヒーで提供。ホットの「ハウスブレンド」とアイスの「水淹れアイスコーヒー」はいずれも825円。ほかに、「グアテマラ ゲイシャ」(1320円)のような逸品も用意した。フードメニューは「プロント」の通常メニューに加えて、同店限定のパスタ「渡り蟹のトマトクリーム」(1650円)や、「苺のナポレオンパフェ」(1980円)といったスイーツ、エスプレッソ粉を利用したオリジナルのジンでつくる7種類の「エスプレッソマティーニ」(1650円~)など、銀座に相応しいアイテムを揃える。
同社がリブランディングで打ち出した「キッサカバ」のコンセプトを、よりハイグレードに昇華させた新業態だ。
(価格は税込み)
★けんじの評価:希少な“二毛作”業態ブランドのパイオニア
「プロント」は、1987年に東京・新宿でパイロット店を出店、翌年、銀座で直営1号店をオープンした。当初は昼と夜で店頭の看板を差し替えるなど、明確な二毛作業態としてスタートしたと記憶している。その後、昼夜の切り分けはやや曖昧になったようだが、5年ほど前から、同ブランドはまた、時間帯によってターゲット客層や店舗の雰囲気を明確に切り替えるリブランディングを打ち出した。昼間は20代~30代ぐらいの若い世代を中心にしたカフェ営業、そして夕方からは年齢を問わずビジネスパーソンを対象にした新業態の「キッサカバ」となる。これは「喫茶」と「酒場」を合体させた造語で、昼間とはBGMや照明などを変え、店頭には大きな“のれん”を下げた。初期の二毛作営業に近いスタイルだが、同社は「二面性」と呼んでいる。農業で使われる本来の二毛作という言葉自体が死語に近いので、まあ無理もない。
今回のリニューアルにあたって、このリブランド業態を踏まえたスタイルになったのだから、おそらくそれは成功だったのだろう。サントリーという企業は、かつて飲食店の新業態開発で業界を席巻していた。一時は、同社に企画してもらうこと自体がステイタスとなるほどだったが、飲食店のトレンドが飲酒からカフェへと移り、そうした状況にも変化が訪れたようだ。
同店の2階席では電子タバコの喫煙が可能だ。そのため、入店した客ひと組ごとにスタッフが1階か2階のどちらを選ぶか尋ねている。なかなか大変だなと思った。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「PRONTO THE FIRST」
開業=2025年12月2日/所在地=東京都中央区銀座8-6-25 河北新報ビル
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/













