アポなし!新業態チェック(6)クリスピー・クリーム・ドーナツ新宿サザンテラス店

2007.04.02 326号 4面

昨年の12月15日、東京新宿の「新宿サザンテラス」に、米国の老舗ドーナツ店「クリスピー・クリーム・ドーナツ」がオープンした。この店はクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン株式会社(東京都)の第1号店。同店の米国本社は1937年にノースカロライナ州で創業された歴史ある企業であり、現在は世界10ヵ国に約400店舗を展開している。

日本法人は、製菓メーカー大手のロッテと企業再生事業会社であるリヴァンプが共同出資して設立され、日本マクドナルド出身の香坂伸治氏が代表取締役を務める。

ドーナツは、自慢の「オリジナル・グレーズド・ドーナツ」(150円)のほか、10種類以上のバリエーションがあり、このメニュー以外はすべて170円。また、「オリジナル・グレーズド」が12個入った「ダズンボックス」(1500円)は2個分がお得な同社の主力商品。「ダズンボックス」にはほかに、異なった種類のドーナツが詰められた「バラエティ・ダズンボックス」(1700円)もあり、ドリンクのコーヒーにはドリップとエスプレッソの2種類が用意されている。

この店のドーナツは、「ドーナツシアター」と呼ばれる巨大なマシンで作られ、マシンが稼働している様子を店頭のガラス越しに眺めることができる。ドーナツを製造しているあいだは、店頭の「ホットライト」というサイン照明が点灯し、出来たてのドーナツが提供できることを知らせる仕組みだ。

★けんじの評価

ついに行って来ました、話題の「クリスピー・クリーム・ドーナツ」。何といってもオープン以来、常に店頭は長蛇の列。ネット上のブログでも悔しさいっぱいのコメントがあふれている。筆者も開店日は200人ぐらい並んだ行列に恐れをなして退散した。その後も何度かトライしたが、結局、臨店したのは開店から約2ヵ月が過ぎた某日だ。午前10時に店舗へと向かうと、さすがにまだ行列の人数は少ない。しかし、待ち合わせた知人を待つ10分ほどの間にも次々とお客は増え、約45分でやっと店内へ。並ぶあいだにガラス越しに見える巨大なドーナツ製造機の様子はなかなか楽しいし、入口近くまで来ると、マシンで作られた出来たてのドーナツを1個、スタッフが無料でふるまってくれる。

この出来たてのドーナツが、ふんわりと軟らかく本当においしい。

並んでいると「『ダズンボックス』を購入するならば早く入れます」と案内される。「え、そういう仕組みなの?」と、少し驚くが早いに越したことはない。さっそくコーヒーと一緒に購入し、店内2階へ。見ると、なぜかイートイン客席はガラガラ。こんな風景をどこかで見た記憶が。そう、今は1店舗になってしまったらしいシナモンロール・チェーンの「シナボン」だ。かつてはワイドショーで行列のできる店として盛んに取り上げられていた。

この店も、働くスタッフたちのために、現在の異常事態を一刻も早く改善してほしいと切に願うのみだ。

(外食ジャーナリスト 鷲見けんじ)

●店舗概要/店名=「クリスピー・クリーム・ドーナツ」新宿サザンテラス店/開業=2006年12月15日/所在地=東京都渋谷区代々木2─2─2、新宿サザンテラス内/席数=60席

◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。

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