ヤマハ発動機販売、「ギア」が排ガス規制でフルモデルチェンジ!
耐久力・経済性に優れた業務用2輪スクーター「ギア」がさらにグレードアップした。ヤマハ発動機販売(株)は、このほど施行されたバイクの排ガス新規制にともない、「ギア」のエンジンを2サイクルから4サイクル水冷・FI(フューエルインジェクション)に変更、デザインと使い勝手も全面改良して10月12日に新発売した。
新型ギアのコンセプトは「タフネス&フレンドリー&クリンネス」。4サイクル化による耐久性と燃費効率のアップ、なめらかに加速する安全志向の走行性能、坂道と積載に強いパワフルな走りが自慢だ。おもなセールスポイントは次にあげる通りだ。
(1)タフネス=重積載時や登坂にストレスなく走れるパワー。転倒時のダメージが少なく、立ちゴケ程度ではカバー類が損傷しにくい構造。
(2)フレンドリー=小柄な人でも楽に運転できる車重と低重心化。標準的女性の体格でも安心な足つき性。積載時の駐輪が簡単かつ安定。
(3)クリーン=新排ガス規制適合。煙がなく、においの少ない排気ガス。早朝でも気にならない静かなエンジン音。エンジンが油まみれにならない。傷や汚れが目立ちにくい車体構造。
「シートを20mm、荷台を25mm、従来よりも低く設計して理想的な重心バランスを実現しました」とは法人販売課長の今井良哉氏。「4サイクル化で耐久力と経済性に一層磨きをかけ、安全性と走行性能も追求した、業務用スクーターの決定版です」と太鼓判を押す。
本体価格は21万円。新聞配達用の特別仕様「ニュース・ギア」は22万円。パーキングスタンド仕様も近日発売予定で、ルーフも開発中だ。
◆盛り上がる宅配スクーター市場 気になるジャイロとの比較 業界筋はギアに軍配か
バイクの新排ガス規制が施行(9月1日~)され、バイクメーカーは全車種のエンジンを2サイクルから4サイクルに変更発売する。業務用バイク市場では、ギア(ヤマハ)がいち早く新型車種を発売した。ライバルのジャイロ(ホンダ)も近々に発売する模様だ。ギアとジャイロを使い分けている宅配業界は、変更後の性能比較に強い関心を寄せている。
業務用バイクといえば、耐久性抜群のスーパーカブが不動の王者だが、新聞配達と郵便配達を除く宅配市場では、スクーターユーザーが急増している。その立役者が宅配ピザブームで台頭した3輪のジャイロと、追随した2輪のギアだ。ジャイロはファッション性、ギアは耐久力・経済性を売り物に、それぞれ市場台数を急速に増やしてきた。
だが、レジャーバイクとして開発されたジャイロは、3輪のためメンテナンスコストが高い欠点があり、かたやギアは、優れた回避性能を示すはずの高馬力が、逆に「危険では?」との誤解を招いてきた。ともにマイナスイメージを抱えての市場拡大は、堅調なスクーターニーズの証明ともいえる。
新排ガス規制は、業務用スクーター市場にどのような影響を与えるのか。結論からいえばギアに軍配が上がりそうだ。
まず、4サイクル化の構造適正については、「耐久性、経済性、安全性、すべて2輪が優位」(業界筋)という声が多い。価格比較では、新型ギアはノーマル車種の9000円アップの21万円。新型ジャイロの発売は未定だが、先行対応のスーパーカブが3万5000円アップだったことから、新型ジャイロも相応もしくはそれ以上のアップが推測される(現行価格:ジャイロX=約25~27万円、ジャイロキャノピー=約43~47万円)。
いずれにせよ、新型ジャイロの正式発表を待っての比較が注目される。