メニュートレンド:「塾弁」宅配で働く親の味方 マザール「あべんとう」

2009.03.02 354号 01面
料理は日替わり。毎回、作家・明川哲也氏作のメッセージが書かれたカードが付く。30枚集めれば1食無料サービス

料理は日替わり。毎回、作家・明川哲也氏作のメッセージが書かれたカードが付く。30枚集めれば1食無料サービス

 「塾弁」をご存知だろうか? 進学塾に通い、夜遅くまで勉強する子どもたちに持たせる弁当のことだ。仕事を持つ親の中には塾弁づくりを悩みの種とする人も多いようだ。そこで、子どもの健康を考えて作られた手作り弁当を塾に配達するサービスが昨年7月、横浜市青葉区に現れた。

 夜遅くまで塾で勉強する子どもたちは、休憩時間を使って夕食代わりに「塾弁」を食べている場合が多いという。しかし、仕事を持つ親にとって、塾に行く前までに弁当を作り、持たせることはなかなか難しい。

 (有)マザールの代表取締役・あべみちこ氏も、仕事を持つ母親として塾弁作りの厳しさを実感した1人。朝作った弁当では冷めてしまうだけでなく、劣化して硬くなり、おいしくない。さらに、夏場は食品が傷む心配もある。しかし、ファストフードやコンビニ弁当は、子どもの健康を考えると食べさせたくなかった。

 「塾弁といえども、大切な食事。空腹を満たすだけの弁当であってはならないという思いから、スローフード弁当のデリバリーサービスとして『あべんとう』を始めました」とあべ氏。

 弁当の製造は、地元の人気魚料理屋「うおたま&くうかい」(横浜市緑区)に委託。添加物をなるべく使わない、魚中心のレシピでオーガニック野菜を使うなど、こだわりを持つ料理は子どもに安心して食べさせることができる。

 2段重ねの弁当箱には、主菜に魚か肉のいずれか2品、副菜は野菜や海藻などを使ったサラダや煮物など2品、そして雑穀ご飯が詰められている。

 「当日にメニューと写真をブログに掲載し、携帯からもチェックできるようにしています。骨の多い魚料理の時には、『骨に気をつけてね』と伝えています」(あべ氏)

 このサービスを利用するには会員登録が必要で、入会金は1800円(弁当箱2個の貸出料含む)。10回分のチケット(8200円)をあらかじめ購入する。

 完全予約制で、指定の場所、日時にスタッフが弁当を届ける。子どもたちは塾で弁当を受け取り、食べ終わった弁当箱は家に持ち帰って洗い、次回配達時に回収する。

 「1食820円は、弁当としては高いかもしれません。しかし、安心して、おいしい弁当を食べさせることができ、助かるという声が多い。会員数はまだ少数ですが、必要としている家庭は多いはず」とあべ氏。

 さらに、「弁当の量や内容ならばご高齢の方も満足できる」と考え、いずれは高齢者向けサービスも始めたいという。

 ◆「あべんとう」/経営=(有)マザール/本社所在地=神奈川県横浜市青葉区青葉台2-2-1 #304/開業=2004年4月/http://www.motheru.jp/

 ●愛用資材・食材:(株)竹中(石川県加賀市)「雅弁当 炭研ぎ・クローバー」

 和のテーストを基調とし、男子・女子ともに使えるシンプルな色とデザイン。ご飯とおかずを別々に詰められる2段型で、食べ終わった後はコンパクトに収納できる。サイズは137×106×88mm。容量が上段はお茶碗約1杯分相当の200ml、下段320mlと、小学5、6年生にとってはちょうどよいサイズ。ペット樹脂とABS樹脂の合成品で電子レンジや食器洗浄機で使用することができる。弁当箱専門の製造・販売メーカーのため、中蓋だけの取り寄せも可能。1個=1680円

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: メニュートレンド